【下級裁判所事件:組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規 制等に関する法律違反,銃砲刀剣類所持等取締法違反/福岡高 3刑/平30・7・4/平30(う)43】結果:棄却

主文(by Bot):
本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中130日を原判決の刑に算入する。
理由
本件控訴の趣意は,弁護人後藤富和作成の控訴趣意書(なお,弁護人は,同書面中の法令適用の誤り及び量刑不当に関する主張は,事実誤認をいう趣旨に尽きる旨釈明した。)に記載のとおりであるから,これを引用する。
第1 控訴趣意中,原判示第1の組織的殺人未遂,けん銃発射,けん銃加重所持(以下「元警察官事件」という。)に関する事実誤認の主張について論旨は,要するに,被告人には,被害者である元A県警察警察官Bに対する殺意がない上,元警察官事件がC会の活動として組織により行われたことはなく,また,D(C会総裁),E(C会会長),F(C会理事長兼G組組長)との共謀は認められないのに,これらの事実を認めた原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認がある,というのである。そこで,記録を調査して検討する。 1原判決の概要
(1)元警察官事件の犯行態様は,約1.2mという近い距離から,人を殺傷する能力を十分備えた真正けん銃を用いて,Bの左腰部及び左大腿部という身体の枢要部に近い部位に向けて銃弾を2発撃ち込んだというものである。犯行による負傷そのものは結果的に生命の危険を生じさせるには至らなかったが,わずかでも銃弾の軌道がずれたり,Bが別の身体の動かし方をしたりしていれば,銃弾が重要な臓器等を損傷して死に至らせる危険性があった。そのことは,自らBに近づき,けん銃を構えて発射するなどした被告人も認識していた。そうすると,被告人は,ことによればBが死亡する危険性はあるが,それでもやむを得ないという程度の殺意を有していたと認められる。 (2)元警察官事件は,少なくとも,H(C会G組若頭)以下のG組の組員が,Hの指示により定められた役割分担に従って敢行したものであることが明らかである。(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/921/087921_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87921