裁判所の判断(by Bot):
平成29年6月7日,捜査車両内において,被告人の着衣及び所持品を捜索対象と
する捜索人女性の立会がない状況で,男性警察官が被告人にその令状を示した上,女性警察官が,被告人の陰部付近をズボンの上から確認し,その際にビニールに触れる音がしたため,着衣の中を確認すると言ったところ,被告人がその女性警察官の手を振り払い,何かを足の方に移動させて捜索を妨げる行為をしたため,さらに,その女性警察官が,被告人の陰部付近及び両足を確認し,黄色の液体入りボトルを発見し,被告人が「中身は尿だ」などと説明したことから,被告人を警察署に任意同行することになったことが認められる。女性の着衣を捜索対象とする捜索訟法115条の趣旨は,捜査上の必要があって令状に基づいて行われるものであるとはいえ,捜索に乗じた不当な性的行為を防止するとともに,異性に身体を触れられることによる羞恥心,不快感等の軽減を図ることにあり,このような趣旨に照らすと,同条は,女性の身体に触れて捜索を実施する者が男性警察官である場合には成人女性を立ち会わせなければならないとしているものと解され,本件のように,女性の身体に触れて捜索を実施する者が女性警察官のみである場合には適用されず,成人女性の立会は要しないと解される。したがって,女性警察官のみが被告人の身体に触れて実施された上記捜索は適法である。また,捜索の状況は上記のとおりであり,原審記録を検討しても,上記捜索を実施する上でその場にいる必要のない男性警察官がいたとか,身体検査令状がなければできない捜索が行われたということはうかがわれない。以上のことからすると,上記鑑定書や捜査報告書を収集した捜査過程に違法はなく,これらの証拠に証拠能力を認めて取り調べた原裁判所の訴訟手続に法令違反はない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/961/087961_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87961