主文(by Bot):
本件各控訴を棄却する。
理由
第1参加人の事実誤認の主張について
論旨は,要するに,原判決が没収した金地金206塊(以下「本件金地金」という)は参加人の所有する物であり,刑法19条2項本文にいう「犯人以外の者に属しない物」ではないから,本件金地金が本件犯行の共犯者Aあるいはその背後にいる氏名不詳の共犯者の所有する物と認定した原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認がある,というのである。そこで記録を調査し,当審における事実取調べの結果をも併せて検討すると,原判決が本件金地金を刑法19条2項本文にいう「犯人以外の者に属しない物」と認定したことに,論理則,経験則に反するところはなく,原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな事実誤認はない。その理由は以下のとおりである。 1関係証拠からの検討
本件犯行は,原判示のとおり,被告人ら中国人とBら日本人が共謀し,平成29年5月末頃,東シナ海公海上で,本件金地金を国籍不明の船舶から本件船舶に積み替え,佐賀県唐津市の岸壁で本件金地金を陸揚げして,無許可で貨物を輸入し,不正の行為により消費税及び地方消費税を免れた,というものであるところ,関係証拠によれば,本件犯行に至る経緯について,次の事実が認められる。
?A,被告人らは,本件犯行より前の平成29年3月と4月,それぞれ本件と同様に,公海上で本件船舶を国籍不明の船舶に接舷させるいわゆる瀬取りの方法で,金地金を日本国内に持ち込んで密輸しようとし,同年3月には接舷できなかったものの,同年4月には金地金を日本国内に陸揚げし,密輸したその金地金をリュック サック数個に入れたまま自動車で東京に運んでいる。
?金地金を密輸するに当たっては,本件犯行の日本側の共犯者が本件船舶を購入している上,本件船舶及び国籍不明の船舶にそれぞれ船舶電話が設置され,相互の連絡用に衛星電話2台が用意されて(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/019/088019_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88019