裁判所の判断(by Bot):
原判決の事実認定は,原審証拠と論理則,経験則等に照らして不合理なところはなく,当裁判所も相当なものとして首肯することができる。これに対し,所論は,まず,被告人は本件当時レバノンにいたもので,本件ホテルで目撃された人物は被告人ではなく,E号室で発見された指紋は被告人のものでないなどと,犯人性等に関し,原審と同様の主張をするが,これらの主張に理由のないことは原審が正当に説示するとおりである。また,所論は,原判示第3の殺人未遂の事実につき,仮に本件ホテルで目撃された人物が被告人であり,かつ,E号室で発見された指紋が被告人のものであるとしても,被告人が本件事件の実行犯とは認定できないのであるから,本件事件の検討に当たっては,被告人がE号室を他人の使用に供しようとしていたことを前提に検討することが必要であるところ,これを前提に考えると,争いのない事実又は客観的な事実から推認できる事実は,被告人が,何者かからの指示に基づくなどして,チェックインの手続をし,部屋を変更し,チェックアウトの日を変更し,チェックアウトの手続をしないままホテルから立ち去り,インドネシアへの入出国の際にL名義のパスポート及び偽名の使用をしたこと,及び,被告人がチェックイン
9してから立ち去るまでの間にE号室内のランプの支柱及び空き缶に触れたことだけであり,これらの事実からは,被告人が本件事件に関する犯行計画の内容や実施日を知っていたとまでは認めることはできないから,被告人には殺人未遂の故意が認められないと主張する。しかしながら,本件事件は,その準備に相当な時間と労力を要する組織的・計画的な犯行であると認められるところ,被告人は,偽造旅券を用いて本件ホテルのチェックイン手続を行った上,位置関係からより犯行に適していると解される部屋への変更を申し出て,E号室を確保し,その後チェックアウ(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/045/088045_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=88045