【下級裁判所事件:殺人,傷害被告事件/福岡地裁/平30・10 ・5/平29(わ)1207】

罪となるべき事実(by Bot):
被告人は,
第1 平成29年6月28日頃,当時夫であったAと口げんかをしたことによる苛立ちを,Aとの間の子であるBを傷付けることにより解消しようと思い,福岡市a区bc丁目d番e号のA方において,B(当時生後3か月)に対し,その右ほほを手指の爪でひっかく暴行を加え,よって,同人に全治約10日ないし2週間を要する右部擦過傷の傷害を負わせた。
第2 同年7月13日午後9時30分頃,Aとの間でトイレの使い方を巡って口論になった上,同人から軽く頭を叩かれるなどしたことに激しく苛立ち,前記A方において,その苛立ちを解消しようと思い,Bが死ぬかもしれないがそれでも構わないなどと考えて,同人(当時生後4か月)に対し,その胸腹部を足裏で複数回踏み付け,よって,その頃,同所において,同人を心臓破裂により死亡させて殺害した。 (争点に対する判断)
1本件の争点
本件の争点は,判示第2の犯行の際,被告人が殺意を有していたか,判示第2の犯行の際の被告人の責任能力の程度(心神耗弱の状態にあったか)である。 2争点(殺意の有無)について
行為の危険性について
証拠によれば,被告人が地団駄を踏む(強く足踏みをする)形でBの胸や腹を足裏で踏み付けたことが認められる。生後4か月の乳児を大人が踏みつけること自体,常識的にみて命の危険を感じさせる行為であるし,証人として出廷したC医師の供述によれば,Bの死因となった心臓破裂は,少なくとも数秒間,身体の厚さが2分の1以下になるような強い圧迫がなければ生じないから,被告人の踏み付け行為は大変強い力によるものであったといえる。被告人も,Bを踏む際には力加減をせずに自己の全体重を掛けたと述べている。そうすると,被告人の行為は,Bを死亡させる危険性があるもので,その危険性は極めて高いものであったと認められる。危険性の認識についてBを死亡させる危険性が(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/092/088092_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88092