主文(by Bot):
被告人は無罪。
理由
1本件公訴事実は,「被告人は,平成28年10月3日午後1時30分頃から同日午後1時59分頃までの間,大阪府吹田市ab丁目c番府営d住宅e棟f号室被告人方において,次男であるA(当時生後約1か月半)が泣きやまないことにいら立ち,同人に対し,その頭部を複数回揺さぶるなどの暴行を加え,同人に急性硬膜下血腫,くも膜下出血及び左右多発性眼底出血等の傷害を負わせ,よって,同月15日午後2時47分頃,同市gh番i号J病院において,前記傷害に基づく蘇生後脳症により死亡させたものである。」というものである。当裁判所は,被告人が,Aに対し,その頭部を複数回揺さぶるなどの暴行を加えたとは認定できないと判断したので,以下,その理由を適宜説明する。
2関係証拠によれば,Aには,平成28年(以下,同年の出来事については月日のみを記載する。)8月17日の出生時,同月22日の退院時,9月27日の1か月検診の際のいずれにも,健康上の問題は見られなかったこと,Aの頭蓋内には,左右の大脳半球円蓋部,右大脳半球間裂にそれぞれ急性硬膜下血腫が,左右の大脳半球及び脳底槽にそれぞれくも膜下出血が認められたこと,Aの左右の眼には,多層性多発性の眼底出血が認められたこと,解剖時の所見や搬送時の血液検査の結果等からは,Aには,くも膜下出血や硬膜下血腫を生じるような内因性の疾患はなく,多層性多発性の眼底出血を生じるような内因性の疾患もなかったこと,Aは,10月15日午後2時47分頃,搬送先の病院において,蘇生後脳症によって死亡したことが認められる。そうすると,Aは,何らかの外力によって上記各傷害を負って死亡したといえる。検察官は,Aの受傷原因は,揺さぶりによる高エネルギーの外力が頭部に対して加えられたことであり,かつ,その受傷時期からすると,そのような暴行をAに対して加えることができたのは(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/182/088182_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88182