【下級裁判所事件:傷害致死/東京高裁11刑/平30・11・21/平2 9(う)771】結果:破棄自判

裁判所の判断(by Bot):

原判決の判断は,前記のとおり,被告人Aが被害者の頭部を右足で1回蹴る暴行を加えた事実を認定しなかった点で是認できないが,その余の点については,原審証拠と論理則,経験則等に照らして不合理なところはなく,当裁判所も正当なものとして是認できる。以下,被告人Aの暴行に関する検察官及び被告人Aの弁護人の所論並びに被告人Bの暴行,被告人両名の共謀,被告人Bの罪責,被告人Aの罪責に関する検察官の所論の順で理由を述べる。 被告人Aの暴行について
ア被告人Aの右足による暴行について検察官は,原判決が,被告人Aが被害者の頭部を右足で蹴った暴行を認定しなかったことについて,原判決は,被告人Aの一連の動作から「右足の動き」だけを分断して個別に感覚的な検討を加えているだけで,被告人Aの右足以外の身体の部位の位置関係の変化に係る事実その他一定の推認力を有する間接事実の総合評価という観点からの検討を欠いており,この結果,原判決は,映像について認定した「被告人Aが被害者の頭部の方に移動し,被害者の頸部右上付近に右足を着地させた」行為について,合理的根拠がないのに「被害者の頭上をまたいだという動きであるというようにみることが,常識的に考えてあり得ないとまではいえない」と判断しており,かかる判断は論理則,経験則等に反することが明らかである,と主張する。すなわち,検察官は,映像の間,被告人Aの頭部はほぼ同じ位置にあり,被告人Aの両肩部もほぼ同じ位置にとどまっていること,その間,被告人Aの右足裏は,被害者の頭部に向かい2回上下動したこと,被告人Aは,右足が床から離れてから再び床に着くまでの約1.858秒間,左足だけで立ち続けていること,映像の動作は,その後の「またいだ」動き(両肩部が前方に移動し,腰部及び臀部が見え,左足が身体の後部に残されている)とは明らかに異なることを指(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/186/088186_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88186