概要(by Bot):
本件は,土地改良区の理事長であった被告人Aが,入札指名業者の建設会社で専務取締役の地位にあった被告人Bに対し,非公表情報である工事発注予定価格を内報し,その見返りとして,被告人両名の間で,現金10万円の収受が行われたという事案である。そして,本件は,長期間にわたって同種行為が繰り返される中での犯行であるところ,この種事犯が,公正に行われるべき土地改良事業への社会の信頼を傷つける悪質かつ反社会的な犯行というべきは明らかである。安易な癒着の構造の中,被告人Aは,得た現金を生活費や遊興費に充てようなどと考えて犯行に及び,また,被告人Bは,会社の利益を図ろうと惰性のままに犯行に及んでいるのであって,その各動機経緯にも酌むべきものは乏しい。被告人両名は,いずれも厳しい非難を免れない。しかし,他方で,被告人両名がいずれも事実を認めて反省の態度を示していること,当然ながら,被告人Aは本件土地改良区の理事長を辞任し,前記建設会社は指名停止措置の制裁を受け,被告人Bは現在自宅謹慎中の身であること,被告人Aについては叔父が,被告人Bについては長女が,それぞれ出廷の上,今後の指導監督を誓約していること,被告人Aに前科はなく,被告人Bにも業務上過失傷害による古い罰金前科のほかに前科はないことなど,それぞれ被告人両名のために酌むべき事情もある。そこで,これらの事情を考慮し,被告人両名に対しては,それぞれ主文の各刑を科した上,いずれもその各刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/197/088197_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88197