裁判所の判断(by Bot):
事実誤認の主張についての所論は,要するに,被告人両名には,本件事故についての予見可能性・予見義務・結果回避義務が存在しないのであるから,原判決が被告人両名に本件事故について過失責任を認めたのは判決に影響を及ぼすことが明らかな事実の誤認があるというものである。当裁判所も,被告人両名は本件事故を予見できたし,予見すべき義務があったとして,被告人両名に業務上過失致死罪の成立を認めた原判決の判断は,原審証拠と論理則・経験則等に照らして不合理であって首肯できない。そして,原判決の説示を見ると,前述のとおり,原判決は,まず,本件事故と因果関係を有する結果回避措置を設定し,しかる後,かかる結果回避措置を講ずるべき責任主体は誰かを検討して,被告人両名にその作為義務を認め,その後,被告人両名の予見可能性や結果回避可能性を検討している。しかし,過失責任を検討する際は,まず,被告人両名に本件事故に対する予見可能性があるかどうかを検討し,予見可能性がある場合に結果回避措置の内容を検討するのが通常であるから,原判決の判断枠組みが本件において適切であったかどうかについては疑問がある。また,原判決は,「防火帯」の意味について,野焼作業において,火炎の延焼・拡大等の危険から作業員らの安全を確保することができる程度の幅員を備えた安全地帯であることのほか,当時の御殿場市火入れに関する条例又は裾野市火入れに関する条例の各規定による幅5メートルないし10メートル以上のもの及びこれに準じるものなどと説明している。しかも,原判決によれば,入会7号は,約4.7メートルの幅があるのに「防火帯」ではないとされているが,それなりの道路幅があることにより,緊急時の避難場所としての適否の判断を誤るおそれがある(原判決23頁)ともされており,これによれば,入会7号が「防火帯」であるかどうかは相(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/398/088398_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88398