【下級裁判所事件:殺人/名古屋地裁刑6/平30・12・26/平30( )189】

裁判所の判断(by Bot):

1犯行を至近距離で目撃したとする被告人の長男である証人Bは,要旨として,自宅において,土間に下りるための三段階段の最上段に腰掛け,両手で頭を抱えて守るようにしているAに対し,後方に立った被告人が逆手に持っていた包丁を2回振り下ろし,Aの頭に当たったように見えたこと,Aが左方の洗濯機の方向に動いたところ,被告人が振り下ろした包丁がAの首の左側にすっと深く入り,首が切れて裂け,これで死んだと思ったこと,洗濯機を抱え込むように倒れたAの頭付近を更に被告人が包丁で三,四回刺し,一度台所の方に行って約二十秒後にその場に戻り,左首に包丁を深く突き刺し,一,二回頭の辺りを刺したこと,被告人が,再度台所の方に行って二,三十秒後にその場に戻り,Aの頭の辺りを一,二回刺したことを供述する。2Bの前記供述の信用性を検討する。
Aの遺体を解剖した証人C医師の証言を踏まえてBの供述を検討すると,前記の点は,Aの頭部に複数の切痕があり,左右の手部に防御創と考えて矛盾がない切痕が複数あることと符合し,前記の点は,Aの左下顎部に切痕があり,その近くにある外頸動脈や内頸静脈などの太い血管が損傷した可能性が高いことと符合し,前記,の点は,Aの頭部に多数の切痕があり,その中にはAが動かない状態において生じたと考えられるものが複数あることと符合している。頭部の15か所に及ぶ損傷は,頭頂骨から後頭骨にかけての一定の範囲,多くは左側のある程度まとまった範囲に残され,成傷時の刃器の刃先は概ね同一の方向を向いており,これらの損傷を全体的にみても,Aがほぼ無抵抗の状況下において,一人の人物による短時間の犯行によって生じたものとみるのが自然である。以上のとおり,Bの前記供述は,遺体の損傷状況によく整合している。加えて,Bにとって,母による父に対する犯行は,20年以上前の出来事で(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/431/088431_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88431