裁判所の判断(by Bot):
当裁判所は,以下で検討・説示したとおり,Aの公判供述(以下「A供述」という。)に関係各証拠から認められる事実を総合しても,本件絵画譲受け時に被告人が盗品であることを未必的にせよ認識していた事実が立証されているとはいえないから,主位的訴因(盗品等有償譲受け罪)は認められず,被告人が本件絵画の占有を開始した際に委託を受けた事実が立証されていないから,予備的訴因(盗品等保管罪)も認められないと判断した。以下,その理由を説明する。 1本件絵画に係る事実経過等
関係各証拠によれば,以下の各事実が認められる。被告人は,30年以上にわたり古物商,主に絵画等を扱う美術商を営んでいる。被告人は,平成27年3月中に,3回にわたり,乙鉄道株式会社(以下「乙電鉄」という。)丙駅(以下,単に「丙駅」という。)構内に展示されていた本件絵画(縦約120センチメートル,横約100センチメートル)について,乙電鉄に対して購入希望申出をしたが,本件絵画は売却対象物ではないとして断られた。被告人は,平成27年(時期については争いがある。),岐阜の美術商を介してAと知り合った。その後,被告人は,Aに対し,本件絵画の入手を依頼したが,Aはこれを入手することができなかった。Aは,同年夏頃,知人のDに対し,本件絵画を盗んで入手するよう依頼した。Bは,同年10月10日午後11時49分頃,丙駅構内に掲示されていた本件絵画を額縁ごと壁面から引き剥がして持ち去り,窃取した。その後,Aは,Dを介して本件絵画を受け取った。被告人は,同月13日夕方,大阪市内の甲駐車場(以下「本件駐車場」という。)において,Aから本件絵画を受け取り,売買代金の一部としてAに現金400万円を交付した。被告人は,同日,本件絵画を受け取った後,自車に本件絵画を積んだ状態で交際していたC方に赴いた。Cは,同日午後8時40分(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/562/088562_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88562