【下級裁判所事件:アスベスト被害に基づく損害賠償請求 事件/福岡地裁小倉支部/平31・3・12/平29(ワ)305】結果:その他

事案の要旨(by Bot):
本件は,石綿工場において石綿製品の製造に従事していた原告が,石綿粉じんばく露により肺がんを発症して精神的苦痛を受けたところ,原告の肺がん発症は被告が旧労働基準法に基づく省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置を義務付けるなどの措置を怠ったことが原因であると主張して,被告に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料及び弁護士費用の合計1265万円及びこれに対する原告が肺がんの診断を受けた日である平成20年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお,被告は,労働大臣が石綿製品の製造等を行う工場又は作業場における石綿関連疾患防止のために旧労働基準法に基づく省令制定権限を行使しなかっ
たことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると最高裁判所が判断したことを受けて(泉南アスベスト第2陣訴訟についての上告審判決である最高裁平成26年10月9日第一小法廷判決・民集68巻8号799頁。以下「最高裁平成26年判決」という。),同判決で認められた被告の責任期間内に石綿工場等で作業し石綿関連疾患にり患した労働者又はその遺族に対し,訴訟上の和解手続により損害賠償を行うことを表明しており(以下「被告の和解方針」ということがある。),本件請求は,これに則ったものである。被告は,本件請求が被告の示す和解の要件を満たすものであることは争わないものの,本件請求についての損害賠償請求の遅延損害金の起算日は,原告の主張する肺がん診断日ではなく,肺がんにつき労災認定がされた日とすべきであると主張している。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/584/088584_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88584