要旨(by裁判所):
【判示事項】
1原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請(申請疾病:前立腺がん)を却下する処分が適法であるとされた事例
2原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請(申請疾病:狭心症)を却下する処分が違法であるとして取り消された事例
【判決要旨】
1原告甲は,長崎市に投下された原子爆弾の爆心地から約4.2の自宅において被爆し,被爆6日後に爆心地付近を通過したものであるが,健康に影響を及ぼすような相当程度の被曝をしたとは認められないこと,前立腺がんは,一般的に放射線被曝との関連性が認められる疾病ではあるものの,放射線被曝と関係なく発症し得るそれほど珍しくない疾病であることなどの判示の事情の下では,原告甲の申請疾病(前立腺がん)につき放射線起因性は認められず,原告甲の原爆症の認定の申請を却下した処分は適法である。
2原告乙は,広島市に原子爆弾が投下された日の夜に入市し,救援活動に従事していたものであり,健康に影響を及ぼすような相当程度の被曝をしたと認められること,原告乙の狭心症は動脈硬化性の安定狭心症であるところ,動脈硬化性の狭心症については放射線被曝との関連性を一般的に肯定することができることなどの判示の事情の下では,原告乙の申請疾病(狭心症)につき放射線起因性が認められ,要医療性も認められるから,原告乙の原爆症の認定の申請を却下した処分は違法である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/635/088635_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88635