【下級裁判所事件:強盗殺人,死体遺棄,電子計算機使用 詐欺/名古屋高裁刑2/令和元・5・23/平31(う)89】

概要(by Bot):
本件は利欲的な動機に基づく計画的な犯行であり,被告人が被害者を殺害してビットコインなどの財産を奪うという目的の達成に向けて,一貫して合理的に行動した経過に照らし,被告人の責任能力の存在に疑問を抱く余地はなく,完全責任能力があったものと認められる。
イこれに対し,弁護人は,被告人に解離性障害の疑いがあり,犯行動機が理解不能で行為に及んだ善悪の判断が異常であり,犯行の際の人格が普段の人格と異質であるから,責任能力がなかったと判断すべき合理的な疑いがあると主張する。この点について,司法分野の社会的活動を専門とする?大学?学部の教授である?は,心理検査の結果等から被告人に解離性障害の疑いがあると証言する。しかし,被告人に精神障害による入通院の経歴がなく,成育歴に解離性障害を疑わせるような逸話も見当たらない上,犯行当時の記憶の欠落がなく,?の供述によって犯行の際の被告人に普段と異なる様子がなかったことなどから,?教授の見解に疑問があり,そのまま採用することはできない。その上,?教授も,犯行当時の被告人の心理状態が不明であり,解離性障害の疑いが犯行に及ぼした影響について説明することはできない,というのであるから,仮に心理検査の時点で解離性障害の疑いがあったとしても,本件犯行との結び付きを欠いており,責任能力に疑いを生じさせる事情とはいえない,というのである。そして,原判決の上記認定及び判断について,論理則や経験則等に照らして不合理な点は認められない。
アこれに対し,所論は次のようなものである。すなわち,本件鑑定が?教授の「心理社会鑑定書」と?大学の精神科の担当教授である?医師の意見書に基づいて請求されたものであるところ,?鑑定書は,犯罪動機に関する被告人の説明が極めて奇妙な内容であり,複数の心理検査の結果により解離性同一性障害と指摘することはできないが,解離症状(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/713/088713_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88713