裁判所の判断(by Bot):
原判決の量刑判断は,考慮した事情及び評価ともに適切であり,当裁判所も相当なものとして首肯することができる。これに対し,所論は,各犯行は会社の経営のために行われたもので,各犯行により得た金銭は実際に会社の経営に用いられており,動機や犯行後の事情に酌量の余地があること,本件に関与した経理関係者が共犯者的立場であるのに処罰されておらず,このことを量刑上考慮すべきであること,被告人には前科前歴がないこと,被告人が反省していること,被告人が7か月以上身柄を拘束されたこと,会社の経営に関し被告人が厳しく報道され社会的制裁も受けたことなどによれば,原判決の量刑は不当に重い旨主張する。しかしながら,(会社の経営のための犯行であること)や(前科前歴のないこと),(被告人の反省)は,原判決も量刑上適切に考慮している。本件は,虚偽の決算書類等を利用するなどして,銀行の融資判断において重要な前提となる融資を受ける会社の財務状況等を偽って,合計約6500万円を詐取し,約6000万円の損害について被害回復の見込みがない事案であって,犯行態様は悪質で,被害も多額であるから,これらを中心に考察して,被告人を懲役2年6月の実刑に処した原判決の判断は相当であり,被告人の更なる反省等の原判決後の事情を踏まえても,原判決の量刑は左右されない。(共犯者的立場が処罰されていないことなど)については,各犯行は,会社の代表者である被告人が,経理等に関わっていた人物に依頼して,内容虚偽の決算報告書等を準備した上で行われており,主に準備行為に関わったこのような人物の処罰の有無等が,被告人の量刑を左右するとはいえない。(身柄の拘束)については,本件は実刑判決が相当な事案であり,原判決は所論指摘の点を未決勾留日数の算入において適切に考慮している。(社会的制裁)については(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/739/088739_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88739