【下級裁判所事件:入札談合等関与行為の排除及び防止並 びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法 律違反,公契約関係競売入札妨害被告事件/神戸地裁/令和元・6 ・19/平31(わ)216】

概要(by Bot):
本件は,西宮市の土木局の職員である被告人が,懇意となった建設会社(以下「本件会社」という)の技術管理部長に対し,2回にわたって土木工事の入札に関する秘密事項である設計金額等を教示し,同社に工事を落札させたという,官製談合防止法違反,公契約関係競売入札妨害の事案である。工事の設計等に携わっていた被告人が設計金額等を漏えいしたことにより,本件会社は,最低制限価格を高い精度で推知し,同価格に極めて近接した価額で2件の公共工事を落札したものであって,本件犯行は,被告人の著しい任務違背により入札の公正を大きく損なった悪質なものである。また,被告人は,本件会社が工事を行えば作業が円滑に進み,税金の無駄も減ると考える一方,同社との良好な関係を築くことで,自分の仕事も楽になり,職場の評価も上がるなどとも考え,本件各犯行に及んだというのであって,適正に職務を行う義務がある公務員の立場をないがしろにした身勝手な動機というほかなく,酌量の余地に乏しい。もっとも,本件各犯行は被告人が飲食接待を受けるなどして業者と癒着する中で行われたものではあるが,そうした利益を得る目的でなされたものとまではいえない。また,被告人が本件各犯行を認めて反省の弁を述べていること,被告人には前科前歴がないこと,被告人の母が出廷して監督を誓約していること,本件により公務員の地位を失うことになることなどの事情もある。そこで,被告人に対しては,主文の刑に処した上,今回はその刑の執行を猶予す ることが相当であると判断した。よって,主文のとおり判決する。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/796/088796_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88796