【下級裁判所事件:殺人,銃砲刀剣類所持等取締法違反/ 阪高裁1刑/令和元・7・16/平29(う)547】結果:破棄自判

裁判所の判断(by Bot):
上記第2,でみたとおり,被告人が,原審第1回公判期日において,突然犯行を否認し始めたため,原審弁護人らが休廷を求めて被告人を説得し,その結果,被告人は犯行を認めたものの,原審第3回公判期日で再び犯行を否認し,先の公判期日に犯行を認めたのは,原審弁護人から否認すれば罪が重くなる旨言われて怖かったからだと述べたことが認められる。このような経緯に照らすと,被告人にとって,原審弁護人の説得が不本意なものであり脅迫的なものと受け取ったことは否定できない。しかし,公判前整理手続の経過や本件の証拠関係からすれば,原審弁護人が上記のような説得をするのはやむを得ないところであって,これを不当とすることはできない。しかも,被告人は,原審第4回公判期日では,犯行の経緯や動機,犯行状況等に関する,訴訟関係者からの質問に対し,被告人にとって答えやすい点は詳細に答える一方,答えにくい点は答えず,再度,原審弁護人に誘導されてしぶしぶ答えるなど,その意思に基づいて応答していたことが明らかである。その供述態度等には,後記A鑑定が指摘する,被告人の精神症状の特徴が表われているものの,それが判断能力等に及ぼす影響の程度は,後に検討するとおり,所論が前提とするほど大きなものではない。被告人が原審公判で述べた内容は,原審では任意性に争いがなかった被告人の検察官調書(原審乙2ないし5)を敷衍するもので,被告人特有の解釈等が含まれているため,その信用性等に慎重な配慮を要するとはいえても,任意性に疑いを生じさせるものではない。所論のうち,訴訟手続の法令違反の主張には理由がない。そして,これらを除く他の証拠から,被告人が原判示の各事実の犯人であることは優に認めることができるため,原判決の犯人性にかかわる点に関して事実誤認があるとはいえない。すなわち,被害者が,原判示第1記載の空き地において,(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/831/088831_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88831