【下級裁判所事件:損害賠償請求控訴事件/大阪高裁3民/令 元・7・19/平30(ネ)628】

要旨(by裁判所):
タイヤ製造等を目的とする会社に雇用され,タイヤ製造業務に従事していた被用者らが,作業工程から発生する石綿及び石綿を不純物として含有するタルク(滑石を微粉砕した無機粉末であり,ゴムの充填剤ないし粘着防止の打ち粉として使用されていた)の粉じんに曝露し,これによって石綿関連疾患(悪性胸膜中皮腫,肺がん,石綿肺)に罹患したとして,被用者ら及びその相続人ら(一審原告ら)が,タイヤ製造会社(一審被告)に対し,債務不履行(安全配慮義務違反)又は不法行為に基づき,慰謝料の支払を請求した事案において,昭和35年には石綿が生命・健康に対して危険性を有するものであるとの抽象的な危惧を抱かせるに足りる知見が集積し,一審被告の同業者が設置した病院の医師が昭和35年にタルクが不純物として石綿を含むことが多い旨の論文を公表していたことから,一審被告もその頃にはこれらの知見を有していたのに,一審被告は高濃度の石綿又は石綿を不純物として含有するタルクの粉じんが飛散する状態で被用者らを職務に従事させていたとして,被用者ら全員に対する安全配慮義務違反が認められるとした事例。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/892/088892_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88892