概要(by Bot):
本件は,被告人が,養子や実子の3名に対し,犬のしつけ用のスタンガンで通電させるなどの暴行を加え,長男に対しては怪我を負わせたという暴行4件,傷害1件の事案である。被告人は,独自の教育方針から,家庭内ルールを定めるなどし,それを子供らに徹底的に従わせようなどと考え,数年前から,3人の子供らに対して罰を与えるため日常的にスタンガンによる電気ショックを与えていたものである。被告人の教育方針は独善的であり,スタンガンを用いて罰を与えるという手法も常軌を逸しているといわざるを得ず,本件各犯行は日常的に繰り返された悪質な虐待行為の一環といえる。被害者である子供らは,被告人から日常的にスタンガンによる電気ショックを受けており,その際には相当程度の痛みを伴ったものと考えられ,その身体的な苦痛はもとより,精神的にも大きな恐怖を味わったことは明らかで,子供らに容易に癒えない心の傷を与えた影響は重大である。そうすると,被告人の刑事責任は重いものがあるが,他方で,被告人には前科がないこと,被告人は事実関係を素直に認め,反省の態度を示し,子供らとは距離を置き,二度と同じような過ちを犯さない旨約束していることなど被告人にとって酌むべき事情もあるため,今回は,刑の執行を猶予することとする。もっとも,被告人に適切な監督者が見当たらないことや保護された子供らとの関係のあり方については慎重に検討する必要があることからすれば,社会内での処遇には専門家の指導監督を要すると考えられ,その猶予の期間中保護観察に付することとする。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/908/088908_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88908