【下級裁判所事件:殺人被告事件/大阪高裁4刑/令元・9・11 /平31(う)239】結果:棄却

概要(by Bot):
本件は被告人が被害車両を正に追跡している最中の衝突事故であり,第3車線を先行する被害車両にすぐに気付かず,被害車両自体の発見の遅れのミスがあったからという主張ないし弁解は,そもそもその前提を欠き,失当である。なお,所論は,被害車両自体の発見が遅れたことによって,とっさの判断をすべき状況下で生じた判断ミスによる過失を主張するようであるが,被告人車両のドライブレコーダーの記録からは,発見が遅れ,被害車両に衝突しそうになってあわてているといった被告人の様子や行動はみられない。その音声記録には被告人が発した言葉はなく,被害車両に衝突しそうになったときの,焦り,驚愕,不安といった心情等は伝わってこないし,適切かどうかは別にして,衝突を避けようとしてあわてて急ハンドルを切ったといった形跡もみられない。した
がって,原判決が,被告人が被害車両に気付くのが遅れるなどしたためとっさの判断をしなければならない状況に陥っていたと認定しなかった点にも誤りはない。加えて,本件では,急ブレーキを掛けるまでの必要があったわけではなく,被告人車両を被害車両の速度を若干下回る程度に減速しさえすれば十分に衝突が避けられたとみられるのに,原判決は,衝突が避けられる程度の速度まで落とすためブレーキペダルを十分に踏み込まなかった点の不自然さから,被告人には衝突を避けようとする気持ちが見られないと判断したのであって,その判断に不合理な点はない。所論は,原審記録にある実験においては,時速100キロメートルを超える車両が時速80キロメートル程度まで減速させるという実験がなされていないから,どのように制動したときに衝突が避けられたかについての証拠がないのに,原判決が,車間距離約10メートルの時点でより強くブレーキを掛けることが非常に容易であったとしたのは誤りであるというが,原判決は,原審におけるA証言(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/929/088929_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88929