概要(by Bot):
本件は,被告人Bの指示の下,廃棄物処理業等を営む被告会社が運営し,食品製造業等から排出される廃棄物を処理して肥料の製造等を行う施設から,定められた基準値を超える汚水を公共用水域である名古屋港に5回にわたり排出したという水質汚濁防止法違反の事案である。本件は,長期間にわたり同種行為が繰り返される中での組織的かつ常習的な犯行であるところ,国民の健康や生活環境の保護といった同法の趣旨に鑑み,本件により生じた結果はもとより看過することができない。施設の運営につき実権を握る地位にあった被告人Bは,かねて搬入される廃棄物の
受入れが施設の処理能力を大きく超える状況にあったにもかかわらず,適切な措置を講じることなく,自身の立場や会社の利益を守りたいなどとの独善的かつ利己的な動機から,従業員を指揮して安易に違法排水を続け,種々の隠ぺい工作をも行っていたもので,かかる一連の経緯は誠に厳しい非難に値する。他方,被告会社代表者が適切な監督を怠った自身の責任につき真摯に謝罪と反省の言葉を述べ,被告人Bも公判廷では事実を認めて反省の態度を示していること,当然の報いとはいえ,被告会社は事業許可取消処分を受け,相応の社会的制裁を受けていること,被告人Bの妻が出廷の上,今後の指導監督を誓約していること,被告人らに前科はないことなど,被告人らのために酌むべき事情もある。以上を考慮し,被告会社に対しては主文の罰金刑を科すこととし,また,被告人Bに対しては主文の懲役刑を科した上,今回に限り特にその刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/937/088937_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88937