【下級裁判所事件:窃盗被告事件/福岡高裁/令元・9・17/平 31(う)60】

裁判所の判断(by Bot):

原判決の上記認定に,論理則,経験則等に照らして不合理な点は見当たらず,事実の誤認は認められない。以下,所論にかんがみ理由を補足して説明する。
本件金塊)について所論は,Aらは,本件金塊に対する処分権を持っていなかったのであるから,占有補助者に過ぎず,刑法上の占有は認められない旨主張する。しかし,原判決が説示するとおり,Aらは,本件金塊を購入して売却する役割を任され,Dら上位者のいる場所から遠く離れたところで,自,
運搬していたのであるから,自らの判断と裁量に基づいて本件金塊の保管,運搬等を行っていたというべきであり,本件金塊に関する実力的支配が専ら上位者にあり,Aらの占有が全く排除されていたとみることはできず,Aらが占有補助者の立場にあったとはいえない。所論は採用することができない。 本件持ち去り行為の同意の有無に関する所論(1の)について
ア所論の骨子所論は,本件持ち去り行為の際のAらの行動からは,本件持ち去り行為についてAらの同意があったことが推認される,本件持ち去り行為により損失を受けており同意していない旨のD供述は信用できない,Dが多額の出資金を集めてその配当に苦慮し,関係者と図って本件金塊を持ち去られたことにすることを計画したことが明らかになったとして,Aらが上位者であるDの意向を十分認識し,被告人らが金塊を持ち去ることに同意・協力した,などと主張している。そこで,以下,順次検討する。
イAらの行動についての所論所論は,Aらが被告人らを警察官と誤認するような状況にはなかったにもかかわらずAらが何らの抵抗もしていないことや,Aらが警察署に届け出るまでに約1時間半もの時間を要していることからすれば,本件持ち去り行為についてAらの同意があったことが推認される,などと主張する。しかし,被告人らの一部が装着していたベストには(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/957/088957_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88957