【下級裁判所事件:入札談合等関与行為の排除及び防止並 びに職員による入札等の公正を害すべき行為の処罰に関する法 律違反,公契約関係競売入札妨害/大阪地裁6刑/令元・10・3/平31 (わ)1103】

概要(by Bot):
本件は,大阪市建設局の職員であった被告人が,飲食接待等を受けていた電気工事会社の実質的経営者と共謀の上,同人に対し,自身が積算を担当した同市発注の電気工事等3件に関する入札に先立ち,その職務に反して,秘密事項である最低制限価格帯の算出根拠となる直接工事費を,3回にわたって教示したというものであり,繰り返し入札の公正を害した悪質な犯行である。被告人は,秘密事項を教示したのは,自身の勤務成績上の評価に直結することとなる担当工事の入札の不調を避けることにあった旨供述するが,職務倫理に関する研修を受けてもいた被告人が上記飲食接待と秘密事項の教示との結び付きを意識しなかったとは考え難い上,いずれにしても自己の保身を図るための犯行であることに変わりはなく,その動機に格別酌むべき点は見いだされない。もっとも,被告人と共犯者とを引き合わせ,共犯者に被告人を紹介したのは,本件犯行以前から継続的に飲食接待を受けるなどして共犯者と根深い癒着関係を築いていた,被告人からすれば先輩格に当たる市職員であって,被告人は,同職員の言に従って被告人に秘密事項を尋ねてきた共犯者に対し,求められるまま秘密事項の教示に応じていたのであり,受動的な面があることは指摘できる。また,被告人に前科前歴がなく,判示の各事実を認めて,反省の弁を述べていること,本件のために懲戒免職となったこと,妻が被告人を精神的に支えていく旨公判廷で約している 令和1年10月29日(火)ことなどの酌むべき事情も認められる。そこで,主文のとおり刑を定めた上,その全部の執行を猶予するのが相当であると判断した。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/999/088999_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=88999