【下級裁判所事件/福岡高裁/令元・9・27/平31(ネ)255】

事案の概要(by Bot):
本件は,石綿工場において石綿製品の製造に従事していた被控訴人が,石綿粉じんばく露により肺がんを発症したことについて,被控訴人の肺がん発症は控訴人が労働基準法(昭和47年法律第57号による改正前のもの。以下「旧労基法」という。)に基づく省令制定権限を行使して石綿工場に局所排気装置を義務付けるなどの措置を怠ったことが原因であると主張して,控訴人に対し,国家賠償法1条1項に基づき,慰謝料1150万円及び弁護士費用115万円の合計1265万円並びにこれに対する被控訴人が肺がんの診断を受けた日である平成20年9月26日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお,控訴人は,労働大臣が石綿製品の製造等を行う工場又は作業場における石綿関連疾患防止のために旧労基法に基づく省令制定権限を行使しなかったことが国家賠償法1条1項の適用上違法であると最高裁判所が判断したことを受けて(泉南アスベスト第2陣訴訟についての上告審判決である最高裁平成26年10月9日第一小法廷判決・民集68巻8号799頁。以下「最高裁平成26年判決」という。),同判決で認められた控訴人の責任期間内に石綿工場等で作業し石綿関連疾患にり患した労働者又はその遺族に対し,訴訟上の和解手続により損害賠償を行うことを表明しており(以下「控訴人の和解方針」ということがある。),本件請求は,これに則ったものである。原審は,被控訴人の請求を認容したため,控訴人が控訴した。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/001/089001_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89001