概要(by Bot):
本件は酌量減軽すべき事案であるとはいえない。そして,の点については,確かに,被告人が解離性同一性障害にり患したことは,被告人の責任とはいえないものの,解離性同一性障害の影響により犯行時の被告人の善悪の判断能力及び行動制御能力が大きく低下してはいない以上,その事情は,考慮するにしても限度のある情状にすぎない。弁護人は,犯行の動機について,信頼できる人物が就職を機に中国へ帰国することとなり,被告人が入国管理局の摘発を恐れ,孤立無援
14になり,追い詰められていたという点は考慮すべきであり,原判決の量刑は重すぎる旨主張する。しかし,信頼できる人物が離れて孤独になったが,在留資格がないため,他人に相談できなかったなどの事情があったとしても,そのような事情と,人を殺害して成り代わるという身勝手な考えを持って実行に移したこととの間には,大きな飛躍がある。在留資格の問題は,このような重大な手段を選択したことに関する非難を軽くする事情とはいえないとする原判決の説示に誤りはない。その余の弁護人の主張を踏まえて検討しても,原判決の量刑が重すぎて不当であるとはいえない。 3さらに,当審において弁護人が立証した事情を踏まえて検討しても,原判決の量刑が重すぎて不当になったとはいえない。
4量刑不当の控訴趣意は理由がない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/116/089116_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89116