【下級裁判所事件:危険運転致死傷,暴行(予備的訴因監 禁致死傷),器物損壊,強要未遂/東京高裁10刑/令元・12・6/平3 1(う)201】結果:破棄差戻

裁判所の判断(by Bot):

?以上の審理経過を踏まえて検討すると,当裁判所は,原裁判所が,本件因果関係が認められない旨の見解を公判前整理手続で表明し,その見解の変更を前提とする主張及び立証の機会を訴訟当事者に一切与えることのないまま本件因果関係を認定し,被告人を有罪とする判決を宣告した訴訟手続には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があると判断したので,以下,説明する。
?裁判員裁判を審理する裁判官及び裁判員の権限について定めた,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「裁判員法」という。)6条1項及び2項は,法令の適用については合議体の構成員である裁判官(以下「構成裁判官」という。)及び裁判員の合議によることとし,法令の解釈に係る判断は構成裁判官の合議によるものと規定しているところ,危険運転致死傷罪の危険運転行為と死傷の結果との間の因果関係について原裁判所が公判前整理手続において表明した見解のうち,刑法上一般的に要求される因果関係と別異に解する理由はないという部分は,一般的な法令の解釈に該当する事項に属するというべきであるから,構成裁判官の合議によって判断すべき事項に該当する。したがって,本件公判前整理手続において当該解釈を表明することの当否は措くとしても,その表明が違法な措置であったということはできない。しかしながら,本件妨害運転後の介在事情の異質性や,それによる危険が死傷の結果に現実化したということの困難性を指摘した上で,本件妨害運転と死傷の結果との間に因果関係を認めることはできず,本件では危険運転致死傷罪の成立が認められないという見解を表明した部分は,本件妨害運転の内容や直前停止行為に至った状況,停止後の事実経過等,本件事案における具体的な事実関係を前提として,これに対する法令の適用について述べたもの15といわざるを得ない。そうすると,(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/140/089140_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89140