【下級裁判所事件:死体損壊,死体遺棄,殺人,窃盗被告 事件/大津地裁/令元・12・6/平30(わ)505】

裁判所の判断(by Bot):

?争点(被害者が加害行為により死亡したか)について
ア被害者の死体の遺棄状況等
関係証拠によれば,被害者の死体は,死後に少なくとも13箇所で切断され,排水路や河川法面等の少なくとも3箇所に遺棄されたことが認められる。ところで,死亡し又は瀕死の状態にある人を認めた者は,救急又は警察に通報することが最も想定される行動である。そのような行動をとらないばかりか,あえて死体を切断し遺棄する行為に及ぶことは,病死,事故死又は自殺といった,自らの関与と無関係の人の死亡に接した際の対応として,想定できないものである。すなわち,死体を多数の部位に切断して遺棄する目的としては,死体を遺棄しやすくするほか,死体が発見されること自体を困難とし,あるいは仮に死体が発見された場合でも,身元の特定や行為者との関わりが発覚することを困難にして,当該死亡の事実等を隠ぺいすることが考えられる。とりわけ,遺棄に先立つ切断等による損壊は,時間的・労力的に手間がかかる上,通常,強い心理的抵抗を覚える行為であり,しかも,それが発覚した場合には,捜査機関から当該死亡への関与というあらぬ嫌疑をかけられる可能性が高い。したがって,まさに当該死亡につき何らかの関与をした者でなければ,このような行為に及ぶ動機があるとは考えられない。したがって,被害者の死体が少なくとも13箇所以上で切断され,複数箇所に分散して遺棄されている事実は,被害者が他人の加害行為により死亡したことを強く推認させるものといえる。なお,年金受給者であると知る被害者が病死,事故死又は自殺により死亡しているのを発見した者が,被害者の年金を取得する犯意を新たに生じて,被害者死亡の事実を隠ぺいするために死体の損壊・遺棄行為に及んだといった可能性も検 討したが,被害者が当時受給していた年金額は,2か月当たり11万円余りで(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/201/089201_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89201