亡Cの相続人(子)である原告B(昭和7年▲月▲日生)及び原告A(昭和10年▲月▲日生)は,同じく相続人(子)である亡D(原告らの弟・昭和21年▲月▲日生。)との間で,亡Cについて開始した相続(以下「本件相続」という。)について,亡Dが,遺産である不動産全てを相続し,その代償として原告らに対して各5000万円の支払義務(以下,「本件各代償債務」といい,同義務に関し原告らが亡Dに対して有する各5000万円の支払請求権を「本件各代償債権」という。)を負う旨の遺産分割協議(以下「平成6年遺産分割協議」という。)をした上,各1815万4500円の相続税額に係る相続税を納付したが,大阪国税局長から,本件相続に係る亡Dの相続税(以下「本件亡D相続税」という。)につき原告らが本件相続により利益を受けた限度で連帯納付義務を負うとして,その履行を求められた(以下,本件亡D相続税につき平成24年法律第16号附則57条2項において準用する相続税法34条1項に基づき原告らが連帯納付すべき義務を「本件連帯納付義務」という。)。そこで,原告らは,再度,亡Dとの間で,本件相続について,亡Dが遺産を全て相続し,原告らは何も相続しない旨の遺産分割協議(以下「平成22年遺産分割協議」という。)をしたものの,原告Aは,大阪国税局長から,平成21年分〜平成27年分の所得税又は復興特別所得税に係る還付金合計10万1731円(以下「本件各還付金」という。)につき本件連帯納付義務に係る相続税に充当する旨の各処分(以下「本件各充当処分」という。)を受け,原告Bは,本件連帯納付 義務を理由とする普通預金払戻請求権の差押えを受け,合計3154万5500円を徴収されるなどした(以下「本件徴収等」という。)。
本件は,原告らが,本件連帯納付義務を負わず,また,これを負わせることは憲法29条に反するなどと主張して,原告Aが,被告に対し,本件各充当処分が違法であるとして,(ア)国税通則法(以下「通則法」という。)56条1項に基づく本件各充当処分に係る10万1731円の還付金並びにこれに対する本件各還付金の還付を受けるための各申告書を提出した日の各翌日から支払済みまで通則法58条1項,租税特別措置法95条及び同法93条2項所定の割合による還付加算金の支払を求めるとともに(第1事件),(イ)本件各充当処分のうち平成27年分に係る充当処分の取消しを求め(第2事件),原告Bが,被告に対し,本件徴収等のうち,徴収(3151万2081円)は違法であり,納付(3万3419円)は法律上の原因を欠くとして,通則法56条1項に基づく本件徴収等に係る3154万5500円の還付金及びこれに対する本件徴収等がされた日の翌日から支払済みまで前記の割合による還付加算金の支払を求める(第1事件)事案である。
なお,原告Bは,第1事件の提訴時点においては,本件徴収等がされておらず,被告に対し,原告Bが本件連帯納付義務を負っていないことの確認を求めていたが,本件徴収等の後,前記のとおり,訴えを変更した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/376/089376_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89376