概要(by Bot):
本件は,実質的には,検察官・弁護人間で争いのある事件である。本件の争点は,1Aの死因並びに2被告人の捜査段階の自白供述の任意性及び信用性の2点である。
このうち,争点1(Aの死因)について,検察官は,Aは,本件呼吸器からの酸素供給が遮断されたことによる急性低酸素状態によって死亡した旨主張するのに対し,弁護人は,致死性不整脈を含むその他の原因で死亡した合理的な疑いがある旨主張する。換言すれば,両当事者の主張の分岐点は,被告人の犯人性以前に,そもそもAの死亡に事件性が認められるのかという点にある。また,争点2(自白の任意性,信用性)について,検察官は,被告人の捜査段階の自白につき,任意性に疑いがないのはもとより,高い信用性がある旨主張するのに対し,弁護人は,供述の任意性に疑いがあるとして,地乙3ないし23(被告人の警察官調書,検察官調書及び供述書。以下,まとめて「本件自白供述」という。)について証拠排除の申立てをするほか,その信用性も争っている。当裁判所は,争点1について,被告人の自白を除いて検討した結果では,C鑑定等の死因に関する判断部分は信用できず,むしろ,解剖所見や診療経過等を踏まえると,Aが,低カリウム血症に起因する致死性不整脈を含む他の原因で死亡した具体的な可能性があると判断した上,争点2については,本件自白供述は,その信用性に重大な疑義があるばかりか,任意にされたものでない疑いがあるとして,これらを証拠排除することとし,以上を踏まえ,本件については,そもそもAが何者かによって殺害されたという事件性を認める証拠すらなく,犯罪の証明がないことに帰するものと結論付けた。以下,その理由について詳述する。第3Aの死因(争点1)被告人の自白供述を除く関係証拠の下で検討すると,C鑑定等のうち,Aの死因が人工呼吸器の管の外れ等に基づく酸素供給欠乏であるとする判(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/471/089471_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89471