【下級裁判所事件:殺人未遂被告事件/広島高裁1/令2・9・1 /令2(う)32】結果:破棄自判

要旨(by裁判所):
殺人未遂の事案において,殺意をもって被害者を刺突した旨の被告人の捜査段階の供述の信用性に疑いを入れる余地はなく,刺突行為が統合失調症の症状である作為体験によるものであったとの鑑定は前提条件を異にするものであって採用できないとして完全責任能力を肯定し殺人未遂罪の成立を認めた第1審判決は,鑑定事項として検討されるべき作為体験の存否を精神鑑定の前提条件となる事実関係と位置付け,鑑定を踏まえた多面的な検討を経ずに不十分な論拠の下に捜査段階の供述の信用性を肯定し,その反面,判断過程に不合理性のない鑑定及び起訴後の供述の信用性を排斥したものであって,その判断は論理則,経験則等に照らし不合理といわざるを得ないとして,原判決を破棄した上自判し,心神喪失の疑いがあるとして無罪を言い渡した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/812/089812_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89812