【下級裁判所事件:不正作出支払用カード電磁的記録供用 ,窃盗/福岡高裁/令2・11・6/令1(う)412】結果:破棄自判

裁判所の判断(by Bot):

1原判決の判断過程の不合理性について
前記のとおり,原判決は,「第3当裁判所の判断」において,検察官の主張する個々の間接事実を対象として,当該間接事実ごとに時系列に沿って検討し,「当該間接事実は認められない」あるいは「当該間接事実からは共謀関係(被告人の関与)を推認できない」旨の説示を繰り返した末,「第4結論」において,要するに検察官の主張する間接事実からは共謀関係を推認できず,他に共謀関係を推認できる事実もない旨説示して,犯罪の証明がないと結論付けている。しかしながら,本件のように,被告人はもとより他の枢要な共犯者らも共謀関係を否定する趣旨の供述に終始しているような事案において,個々の間接事実それ自体から直ちに共謀関係を推認できないのは,ごく自然なことであって,その旨を繰り返し説示したところで格別意味をなさない。本件における事実認定の焦点ないし核心は,個々の間接事実それ自体から直ちに共謀関係を推認できるか否かではなく,原審証拠に基づいて一定の推認力を持つ個々の間接事実を適切に認定,抽出して,他の間接事実と総合して評価した上で,共謀関係があったと推認するに足りる事実関係,すなわち,共謀関係があったと解さなければ合理的な説明が不可能ないし極めて困難な事実関係の形成が認められるか,という点にある(付言するに,原審公判前整理手続における争点の確認は,原裁判所が作成した,検察官の主張する間接事実(前記検察官の主張1ないし6と概ね同様のもの)を個別に列挙し,これに対する弁護人の反論を個別に列挙した「争点整理案」に基づいて行われているところ,その内容と原判決の判断過程を踏まえると,争点整理の段階から,来るべき公判審理においては間接事実の総合評価が不可欠となることへの目配りが原裁判所の側に希薄であったうらみがある。本件のような当事者間に深刻な争いがある「間接(以下略)

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/875/089875_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89875