【労働事件:不当労働行為救済申立棄却命令取消請求事件(通称ニチアス救済申立棄却命令取消)/東京地裁/平24・5・16/平22(行ウ)629】分野:労働

裁判所の判断(by Bot):
1争点1(原告らが参加人の「雇用する労働者の代表者」(労組法7条2号)に当たるか。)について
(1)労組法1条1項,6条,14条,16条等の規定からすれば,同法が保護の対象とする「団体交渉」とは,使用者とその雇用する労働者の属する労働組合の代表者とが,労働者の待遇又は労使関係上のルールについて合意を形成することを主たる目的として交渉を行うことであると解されるところ,労組法がこのような団体交渉を通じて正常な労使関係の構築,樹立を図る趣旨であることに照らすと,「使用者が雇用する労働者」(労組法7条2号)とは,原則として,現に当該使用者が雇用している労働者を前提とするものと解される。また,このように解することは,労組法7条2号の文言にも合致する。
もっとも,現実に雇用契約関係の終了段階でこのような労働条件をめぐる問題が顕在化することもあり,ときには,従業員の退職後,その退職条件をめぐって紛争が生起することも稀ではないことからすれば,このような場合,当該労働者を「使用者が雇用する労働者」と認めた上で,使用者に対し,当該労働者の加入する労働組合との間で団体交渉を義務付けることが労組法の趣旨に沿う場合があるというべきである。しかし,他方で,このような退職後の労働者の在職中の労働条件に関して,使用者に無制限に団体交渉を義務付けることは,使用者側に不当に重い義務を負わせ,ときに無関係な者の関与を許すことにもつながり,正常な労使関係の構築,樹立という団体交渉制度の趣旨に悖ることにもなりかねないことから,この点にも配慮して団交応諾義務の範囲が画されるべきであると解される。このような観点を踏まえて検討するに,①団体交渉の主題が雇用関係と密接に関連して発生した紛争に関するものであり,②使用者において,当該紛争を処理することが可能かつ適当であり,③団体交渉の申入(以下略)
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20130626181421.pdf



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