要旨(by裁判所):
1法人の従業員や取締役であるが業務委託を受けて従業員の研修業務を行っている者を相手方として雇用契約を締結している場合において,個人事業の開業,必要な行政手続を済ませ行政官庁により実在が確認された,事故の名義,計算により事業に関する金銭を区分けして管理等しているといった事実関係の下では,上記の者の事業が当該法人の事業と実質的に同一で,実態が形骸化しているとみることはできない。
2採否についての関与,指揮命令の外形的事情から法人において労働者を使用して給与を支払う意思が表明されているとは直ちに評価し得ないこと,労働者においても,研修期間中は当該法人との契約でないと説明を受けて採用の申し出に応じることなどにより,研修期間中の契約の相手方及び給与の支給者が法人でないことを理解して雇用契約を締結したこと,その後も,研修期間が続き,正社員になった場合には法人が雇用することになるとの認識でおり,法人との契約を締結したとの認識があったといえないことといった事実関係の下では,労働者と法人との間で黙示の雇用契約が成立しているとみることはできない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/024/090024_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=90024