裁判所の判断(by Bot):
被害児の供述が信用できるとして,原判示第1の事実を認定した原判決の判断は,論理則,経験則等に照らして不合理とはいえず,その結論を当審としても是認することができる。以下,所論を踏まえて補足する(なお,被害児の供述に証拠能力がないとする所論が採用できないことは,既に説示したとおりである。)。所論は,被害児の供述には信用性が乏しい旨主張し,その根拠として,1供述の時期,経緯及び内容やX,甲及び乙と被害児との力関係等に照らすと,供述内容の信用性を担保する情況があるとはいえず,むしろ信用性を疑うべき事情が存在すること,2供述内容が,暴行を受けた部位や暴行の態様,時期等の点で極めて曖昧であること,3Xは,平成29年11月7日の被害児からの聞き取りで,同月2日に被害児の目が赤かったことについて「あれもお父さんにやられたの。」と質問をしたところ,被害児が泣きながら「うん,お父さんに殴られた。」と答えた旨証言するが,被害児はXの誘導により事実と異なる供述をした可能性が高いこと,4被害児の顔面に内出血が存在したとしても,被告人の暴行によるものかは明らかでないこと,PTSDの疑いがある旨の診断も,30分間の問診による判断であり,確定診断ではない上に,PTSDの疑いの原因について診断がされたかも明らかでないこと,写真や動画は,被告人による暴行の事実をうかがわせるものですらないことから見て,いずれも被害児の供述の信用性を支える証拠としては弱いことなどを指摘する。しかし,1については,前記第2の2で認定説示したような本件アンケート作成時の外部的状況及びその記載内容に照らせば,被害児は,本件アンケート作成の機会を捉え,実父である被告人から身体的な暴力を含む虐待を受けていることについて,通っている小学校の教諭等に助けを求めたい旨を自発的に記載したと認められるのである(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/114/090114_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=90114