要旨(by裁判所):
1原告の建物に,冬至において,1階のうち60%の部分に6時間中4時間以上の日影を生じさせるものの,被告の建物はこの地域が日影規制(第1種低層住居専用地域,高度地区・北側斜線高度地区)を満たすもので,法令上建築が許容されていること,この地域の周辺建物の状況に照らして,北側に寄せて隣接する2階建て建物が建築されることを想定し得るし,被告の建物は想定の範囲を逸脱していないこと,仮に被告の土地上にあった旧建物による日影形成状況が異なるものであっても,従前の状況を将来も固定的に享受し得るとみるべきでないこと,原告の建物の最も日影時間が長い場所を普段使いする者がおらず,その限度で居住者の感じる日影の影響は限定的ともいえること,被告の行動は法令の制限内で建物を建築する者の通常の行動を逸脱しているとはみられず,その権利を濫用しているとか,原告の生活利益を侵害する意図があるとみることはできないこと,以上の本件の事情からすれば,原告の日照に係る生活利益が制限されているとしてもやむを得ないというべきで,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
2被告の建物の建築によって原告建物の居室からの眺望が変化し,これによって視野が阻害され,圧迫される感覚に至るものであるとしても,社会生活上受忍すべき程度を超えて侵害されたとはいえない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/364/090364_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=90364