Archive by category 下級裁判所(行政事件)
判示事項(by裁判所):
市が住民基本台帳ネットワークシステムに接続していないことは住民基本台帳法に違反するとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき当時の市 長個人に損害賠償の請求をすることを地方公共団体の執行機関である後任の市長に対して求めた前訴たる住民訴訟において,前記不接続に伴って生 じた郵送費等相当額の損害賠償の請求を命じた一審判決が,前訴の補助参加人であった前記市長個人の申し立てた控訴を前記後任の市長が取り下げ たことにより確定した後,同法242条の3第2項に基づき提起された訴訟による同損害賠償の請求が,棄却された事例
要旨(by裁判所):市が住民基本台帳ネットワークシステムに接続していないことは住民基本台帳法に違反するものであり,この不接続に伴って生じ た郵送費等を支出したことは財務会計上の違法行為に該当するなどとして,地方自治法242条の2第1項4号に基づき当時の市長個人に損害賠償の請求 をすることを地方公共団体の執行機関である後任の市長に対して求めた前訴たる住民訴訟において,前記郵送費等相当額の損害賠償の請求を命じた 一審判決が,前訴の補助参加人であった前記市長個人の申し立てた控訴を前記後任の市長が取り下げたことにより確定した後,同法242条の3第2項 に基づき提起された訴訟による同損害賠償の請求につき,前記市長個人が既存の住民基本台帳電算処理システムと前記ネットワークシステムを電気 通信回線で接続しない状態を継続して知事に対して住民票の記載等に係る本人確認情報を電気通信回線を通じて送信しなかったことは,住民基本台 帳法に違反する違法なものであるが,各専決権者による前記郵送費等の支出命令等が財務会計法規上の義務に違反する違法なものであるとはいえ ず,前記市長個人に,各専決権者が前記郵送費等の支出命令等を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務があったということもできないとして,前 記請求を棄却した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/690/084690_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84690
Read More
判示事項(by裁判所):
1生活保護基準の改定により老齢加算が減額又は廃止されたことに伴ってされた生活保護費を減額する内容の生活保護決定の取消し等を求める請求 が棄却された事例
2生活保護基準改定の告示前にされた,これに対応する保護基準に基づく生活保護費を減額する内容の生活保護決定が適法と された事例
要旨(by裁判所):1生活保護基準の改定により老齢加算が減額又は廃止されたことに伴ってされた生活保護費を減額する内容の生活保護決定の取消し 等を求める請求につき,前記保護基準改定に当たっては,生活保護法56条の不利益変更の禁止の規律は適用されず,また,厚生労働大臣の専門技術 的かつ政策的な見地からの裁量権が認められ,その判断の過程及び手続における過誤,欠落の有無等の観点からみて,裁量権の範囲の逸脱又はその 濫用があると認められる場合に保護基準改定は違法となるところ,裁量権の逸脱,濫用の有無は,統計等の客観的な数値等との合理的関連性,専門 的知見との整合性等の観点から検証すべきであるとした上で,老齢加算を段階的に廃止するとした厚生労働大臣の判断は,省内に設置された専門委 員会の提言や各種統計的数値を踏まえたものであり,激変緩和のための措置に係るものも含め,前記の観点からの裁量権の逸脱,濫用は認められな いことから,これに基づく当該保護決定も適法であるとして,前記請求を棄却した事例
2生活保護基準改定の告示前にされた,これに対応する 保護基準に基づく生活保護費を減額する内容の生活保護決定につき,生活保護法8条に定める保護基準は,その改定によって直ちに具体的な保護費 の額の変更を来すものではなく,保護の実施機関による具体的な保護決定によって初めて保護費の額の変更が生じるものであることからすれば,保 護基準は,保護の実施機関たる下級行政庁に対する通達ないし職務命令の性質を有するものであって,直接国民の権利義務に係る法規たる効力を有 するものとはいえないのであるから,保護に関する決定が時間的に保護基準の改定を公示する告示前になされたとしても,内容的にみて改定された 保護基準に違背するものでない限り,直ちに当該処分が違法となるものではないというべきであるとした上,当該生活保護決定は,対応する改定告 示の適用開始時以降の保護費に関するものであり,内容的に前記保護基準改定の趣旨に沿うものであったことが認められ,告示前に決定を行うこと が事務手続上やむを得ないものであったなどの経緯に照らせば,改定告示前に前記決定がされたとしても,当該処分が違法であるとまではいえない とした事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/695/084695_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84695
Read More
判示事項(by裁判所):
犯罪の捜査に関して撮影されたビデオテープにつき編集又は複製がされたものが刑事訴訟法53条の2第1項の「訴訟に関する書類」に該当するとされ た事例
要旨(by裁判所):沖縄県尖閣諸島沖で発生した公務執行妨害被疑事件の状況を海上保安庁の職員が撮影したビデオテープについて,これを捜査の 過程で編集して作成され関係機関間における説明用の資料等とされたもの及びこれの一部が複製されたものは,に関しては後に偶然それを発見 した他の海上保安庁の職員がインターネット上に流出させ,に関しては国会法104条の規定に基づく求めに応じてそれが参議院議長に提出される などしたとの事実があっても,判示の事情の下では,刑事訴訟法53条の2第1項の「訴訟に関する書類」に該当するというべきである。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/682/084682_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84682
Read More
判示事項(by裁判所):
1法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義
2法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義
3適格分割に関する要件(法人 税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)2条12号の11の規定に基づき定められた法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの) 4条の2第6項1号に規定する「当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合」という要件)を形式的には充足せず非適格分割となる ように計画された新設分割が同法132条の2にいう「その法人の行為(中略)で,これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させ る結果となると認められるもの」に該当し,同条の規定に基づき否認することができるとされた事例
要旨(by裁判所):1法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる もの」とは,同法132条と同様に,取引が経済的取引として不合理・不自然である場合のほか,組織再編成に係る行為の一部が,組織再編成に 係る個別規定の要件を形式的には充足し,当該行為を含む一連の組織再編成に係る税負担を減少させる効果を有するものの,当該効果を容認するこ とが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものも含む。
2法人税法(平成22年法律第6号によ る改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」とは,法人税につき更正又は決定を受ける法人の行為又は計算のほか,当該法人以外 の法人であって同条各号に掲げられているものの行為又は計算も含む。
3適格分割に関する要件(法人税法(平成22年法律第6号による改正前 のもの)2条12号の11の規定に基づき定められた法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)4条の2第6項1号に規定する「当事者間 の完全支配関係が継続することが見込まれている場合」という要件)を形式的には充足せず非適格分割となるように計画された新設分割であって も,一連の組織再編成の計画を全体としてみると,「移転資産に対する支配」が継続しているか否かの指標とされる「当事者間の完全支配関係」が 一時的に切断されるが短期間のうちに復活することが予定されており,実質的にみて,分割会社による「移転資産に対する支配」が継続する内容の 分割であると評価されること,分割の態様が,分割承継法人にとって,事業上の必要性よりも,企業グループ全体での租税回避の目的を優先したも のであると評価されること,一連の組織再編成の計画において当該新設分割に引き続いて行われることが予定されていた行為(分割法人が保有する 分割承継法人の発行済株式全部の譲渡)はその事業上の必要性が極めて希薄であったこと,一連の組織再編成に関与する法人において当該新設分割 が非適格分割とは認められない可能性が相当程度あることを認識していたことなど判示の事情の下においては,同号による税負担減少効果を容認す ることは,上記各条項が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであるから,当該新設分割は,同法132条の2にいう「その法人の行為(中略) で,これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当し,同条の規定に基づき否認するこ とができる。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/622/084622_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84622
Read More
判示事項(by裁判所):
いわゆる年金型の死亡給付金の支払の特約の付された保険契約につき死亡給付金の支払事由の発生後に支払の方法が特定された場合にも当該死亡給 付金の請求権がいわゆるみなし相続財産として相続税法24条1項(平成22年法律第6号による改正前のもの)の「定期金給付契約で当該契約に関する 権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」に該当するとされた事例
要旨(by裁判所):変額個人年金保険契約について,その締結に当たっては死亡給付金の受取人が定められていたにとどまり,その支払事由である被 保険者の死亡後に死亡給付金の受取人によりその支払を期間を36年とする年金の方式による旨の指定がされた場合であっても,判示の事情の下で は,当該死亡給付金の請求権は,いわゆるみなし相続財産として相続税法24条1項1号(平成22年法律第6号による改正前のもの)の「定期金給付契 約で当該契約に関する権利を取得した時において定期金給付事由が発生しているものに関する権利」のうち「有期定期金」で「残存期間が35年を超 えるもの」に該当するものとして,その価額を評価するのが相当である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/600/084600_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84600
Read More
事案の概要(by Bot):
本件は,北海道の住民を構成員とする権利能力のない社団である原告が,北海道議会の会派である被告補助参加人らが平成21年度に北海道から交付 を受けた政務調査費のうち,被告補助参加人自由民主党・道民会議北海道議会議員会(以下「参加人自民」という。)については4445万円,被告補 助参加人北海道議会民主党・道民連合議員会(以下「参加人民主」という。以下,参加人自民と併せて「参加人ら」という。)については2984万円 をそれぞれ所定の使途基準に反して違法に支出したとして,被告に対し,地方自治法242条の2第1項4号本文に基づき,参加人らに対して上記金額の 返還を請求するよう求める住民訴訟である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/611/084611_hanrei.pdf
(裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84611
Read More
判示事項(by裁判所):
住民訴訟において,市議会の会派が市から交付された政務調査費を調査研究費として国内の視察旅行の費用に充当したことが市の定める政務調査費の使途基準に違反するとされた事例
要旨(by裁判所):国内の視察旅行の各視察先において行政的な施策等の調査が実施されていること等に照らせば,当該視察旅行を全体として単なる観光旅行であるとまでは断じ難く,議員の調査研究活動としての側面があることを肯定することができるとしても,一般的な観光名所が視察先に含まれていることや会派所属の議員の過半数が視察旅行に参加していること等に照らせば,観光旅行,さらには会派の親睦旅行としての意味合いを併有していたとの疑いを否定できず,その費用額も,相当高額に上るなどの事情の下では,市議会の会派が市から交付された政務調査費を調査研究費として充当した上記視察旅行の費用のうち少なくとも2分の1については,その充当は市の定める政務調査費の使途基準に違反する。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/580/084580_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84580
Read More
判示事項(by裁判所):
道路運送法4条1項に基づく許可を受けて個人タクシー事業を営んでいた者がした同許可に付された期限の更新申請に対し,同許可取得前に受けた反則点数付加の事実を報告しなかったことが更新拒絶事由に当たるとしてされた同申請を拒絶する処分が違法とされた事例
要旨(by裁判所):道路運送法4条1項に基づく一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る。)の経営の許可を受けて個人タクシー事業を営んでいた者がした同許可に付された期限の更新申請に対し,同許可に係る申請から同許可取得までの間に道路交通法違反による反則点数付加を受けたにもかかわらずこれを許可取得までの間に運輸局長に報告しなかったことが,道路運送法86条に基づく同許可に付された条件及び運輸局長公示「一般乗用旅客自動車運送事業(1人1車制個人タクシーに限る。)の許可等に付した期限の更新基準について」(平成14年1月18日制定・近運旅二公示第4号。平成18年1月18日近運自二公示第51号による改正後のもの。)が規定する更新拒絶事由に該当するとしてされた,同更新申請を拒絶する処分につき,上記許可前には反則金の納付を命ぜられておらず,また,同許可前に反則点数付加がされた事実を認識しておらず,故意に報告を懈怠したものではないから,上記許可に付された条件及び上記運輸局長公示の審査基準が定める更新拒絶事由には該当せず,したがって,公示されている審査基準によらずになされた処分であり,裁量権の範囲の逸脱又はその濫用が認められ,違法な処分であるとされた事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/571/084571_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84571
Read More
判示事項(by裁判所):
健康保険法71条1項に基づいて歯科医師のした保険医の登録申請に対し,地方厚生局長が,同医師は同条2項4号所定の「保険医(中略)として著しく不適当と認められる者であるとき」に該当するとしてした保険医の登録をしない旨の処分が,適法とされた事例
要旨(by裁判所):健康保険法71条1項に基づいて歯科医師のした保険医の登録申請に対し,地方厚生局長が,通達の定める基準に則り,同医師は同条2項4号所定の「保険医(中略)として著しく不適当と認められる者であるとき」に該当するとしてした保険医の登録をしない旨の処分は,同医師が過去に保険医の登録取消処分を2度重ねて受けていること,そのうち2度目の登録取消処分の原因となった健康保険法に違反する行為等が,多数かつ多岐にわたっており,少なくとも重大な過失に基づいて頻繁に行われていると認められることなど判示の事情の下では,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえず適法である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/570/084570_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84570
Read More
判示事項(by裁判所):
公益法人に対し株式の寄附をした者がした,租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前)40条1項後段の規定による譲渡所得の非課税の承認申請を不承認とした処分の取消請求が,棄却された事例
要旨(by裁判所):公益法人に対し株式の寄附をした者がした,租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前)40条1項後段の規定による譲渡所得の非課税の承認申請を不承認とした処分の取消請求につき,租税特別措置法施行令(平成20年政令第161号による改正前)25条の17第2項2号が,当該贈与に係る財産が当該贈与があった日以後2年を経過する日までの期間内に当該法人の当該事業の用に供され,又は供される見込みであることをその要件の一つとして定めることにより前記期間内に寄附財産が公益事業の用に直接供されることを求めているところ,株式等のように,その財産の性質上その財産を直接公益事業の用に供することができないものである場合には,各年の配当金等その財産から生ずる果実の全部が当該公益事業の用に供されるかどうかにより,当該財産が当該公益事業の用に直接供されるかどうかを判定して差し支えないものとして取り扱うこととしている「租税特別措置法第40条第1項後段の規定による譲渡所得等の非課税の取扱いについて(法令解釈通達)」(平成20年課資4−83外による改正前)の9ただし書は,合理的な指針であるとした上で,前記寄附がされた月から2年以内の期間にされた寄附株式に係る配当金が全額助成金として支給されたということはできず,また,前記承認申請が当該寄附がされた日から2年以上を経過した時点でされた場合は,原則として当該財産が前記2年の期間内に実際に当該公益事業の用に供されたかどうかを判断すれば足り,当該寄附がなされた時点においてその見込みがあったかどうかを検討する必要はないなどとして,前記取消請求を棄却した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/565/084565_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84565
Read More
判示事項(by裁判所):
貸しビル等において営む「レンタル収納スペース」事業が事業所税の課税客体となることを理由としてされた事業所税に係る各更正処分及び過少申告加算金の各賦課決定処分が,いずれも適法とされた事例
要旨(by裁判所):貸しビル等において営む「レンタル収納スペース」事業が事業所税の課税客体となることを理由としてされた事業所税に係る各更正処分及び過少申告加算金の各賦課決定処分につき,地方税法701条の32第1項にいう「事業所等」とは,それが自己の所有に属するものであるか否かにかかわらず,事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって,そこで継続して事業が行われる場所をいい,前記人的設備とは,当該事業に対し役務を提供し事業活動に従事する自然人をいうと解するのが相当であるとした上,前記事業は,建物の居室に特殊な造作を施して物品の保管を可能にする物的設備を備えることにより,顧客に対し,建物の居室の通常の使用とは相当程度異なる利便性を提供する点において,この事業固有の特質を有するものであり,また,賃借人たる顧客の使用収益権能を強く制限し,賃貸人の管理機能を強化することを通じて,物品の保管機能を高めている点においても,単に不動産の利用権を提供するものにとどまらない内容を有する事業であるということができる点,前記事業に供する居室は,単なる物的設備ではなく,前記事業に対し役務を提供し事業活動に従事する人的設備をも備えているということができる点等を勘案すると,前記事業を行うためにレンタル収納スペースが設けられている居室は,事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって,そこで継続して事業が行われる場所であるということができるから,「事業所等」に該当し,また,前記事業の事業所等の用に供されている居室については,前記事業を行う者が事業所税の納税義務者となると解されるとして,前記各処分をいずれも適法とした事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/564/084564_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84564
Read More
判示事項(by裁判所):
アンゴラ国籍を有する外国人に対して法務大臣がした難民の認定をしない処分の取消請求が,認容された事例
要旨(by裁判所):アンゴラ国籍を有する外国人に対して法務大臣がした難民の認定をしない処分の取消請求につき,出入国管理及び難民認定法上の「難民」とは,人種,宗教,国籍若しくは特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由に迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であって,その国籍国の保護を受けることができないもの又はそのような恐怖を有するためにその国籍国の保護を受けることを望まないものをいい,「迫害」とは,通常人において受忍し得ない苦痛をもたらす攻撃ないし圧迫であって,生命又は身体の自由の侵害又は抑圧を意味するものと解するのが相当であり,「迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有する」というためには,当該人が迫害を受けるおそれがあるという恐怖を抱いているという主観的事情があるだけでは足りず,通常人が当該人の立場に置かれた場合にも迫害の恐怖を抱くような客観的事情が存在していることが必要であるとした上で,前記外国人については,前記処分がされた当時,反政府組織の構成員であること又はその政治的意見を理由として,アンゴラ政府から迫害を受けるおそれがあるという十分に理由のある恐怖を有するために,国籍国の外にいる者であると認めることができるから,同人は同法にいう「難民」に該当するとして,前記請求を認容した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/560/084560_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84560
Read More
判示事項(by裁判所):
金銭消費貸借契約に基づく利息及び遅延損害金の支払に係る収益の額を益金の額に算入して法人税の確定申告をした更生会社の更生手続において,過払金返還請求権に係る債権が更生債権として確定したことから,当該更生会社の管財人が,各事業年度において益金の額に算入された金額のうち当該更生債権に対応する利息制限法所定の制限を超える利息及び遅延損害金に係る部分は過大であるとして,同部分を益金の額から差し引いて法人税の額を計算し,当該更生会社の各事業年度の法人税に係る課税標準等又は税額等につき各更正をすべき旨の法人税の更正の請求に対してされた,更正をすべき理由がない旨の各通知処分の取消請求が,棄却された事例
要旨(by裁判所):金銭消費貸借契約に基づく利息及び遅延損害金の支払に係る収益の額を益金の額に算入して法人税の確定申告をした更生会社の更生手続において,過払金返還請求権に係る債権が更生債権として確定したことから,当該更生会社の管財人が,各事業年度において益金の額に算入された金額のうち当該更生債権に対応する利息制限法所定の制限を超える利息及び遅延損害金に係る部分は過大であるとして,同部分を益金の額から差し引いて法人税の額を計算し,当該更生会社の各事業年度の法人税に係る課税標準等又は税額等につき各更正をすべき旨の法人税の更正の請求に対してされた,更正をすべき理由がない旨の各通知処分の取消請求につき,国税通則法23条2項に基づく更正の請求をする場合の理由は,同条1項各号に掲げる納税申告書に記載した課税標準等若しくは税額等の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかったこと又は当該計算に誤りがあったことにより当該申告書の提出により納付すべき税額が過大であるときであるところ,法人税法は,事業年度に帰属する収益と当該事業年度に帰属する費用又は損失とを対応させ,その差額をもって法人税の課税標準である所得の金額とするものとし,当該事業年度に係る確定した決算に基づき,その発生の原因の実際の有効性等のいかんを問わず,これを認識するものとして,当該決算に基づき前記のように計算した所得の金額及びこれにつき計算した法人税の額が確定されるとしているものと解するのが相当であるとした上,過去の利益計算に修正の必要が生じた場合に,過去の財務諸表を修正することなく,要修正額をいわゆる前期損益修正として当期の特別損益項目に計上する方法を採用する企業会計原則による処理方法は,同法22条4項所定の一般に公正妥当と認められる会社処理の基準(公正処理基準)に該当し,前記更生手続において前記更生会社が,前記各事業年度において益金の額に算入されていた制限超過利息につきその支払が利息等の債務の弁済として私法上は無効なものであったというべきことを前提とする取扱いをすることとなることが確定したとしても,それについては,当該確定の事由が生じた日の属する事業年度において処理されることとなり,前記各事業年度の法人税の確定申告に係る課税標準等又は税額等の計算に遡及的に影響を及ぼすものとはいえず,前記の事由をもって前記更正の請求をする場合の理由があるとはいえないとして,前記請求を棄却した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/554/084554_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84554
Read More
判示事項(by裁判所):
海洋掘削等の事業を行う株式会社に対し,海洋掘削の作業の用に供する「リグ」の賃借料が,所得税法161条3号が国内源泉所得と定める「船舶」の貸付けによる対価に該当し,同法212条1項により源泉徴収の対象になるとしてされた所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分が,適法とされた事例
要旨(by裁判所):所得税法161条3号が国内源泉所得と定める「船舶」の意義については,主要な法令である商法と船舶法との間ですら「船舶」という用語が異なる意義で用いられているなど,「船舶」という用語を用いている他の法令の規定を参照して,所得税法の規定における「船舶」の意義を明らかにすることは困難であるから,所得税法上の外国法人が居住者又は内国法人に対してした特定の物の貸付けが同法161条3号の「船舶」の貸付けに当たるか否かについては,当該物の貸付けに関係する各般の事情を社会通念に照らして検討して決するほかないというべきであるところ,海洋掘削等の事業を行う株式会社が貸付けを受けていた海洋掘削の作業の用に供する「リグ」は,水上に浮揚しての移動及び積載に係る特徴を備えたものであると認定した上で,自力で水上を航行しないサルベージ船,工作船,起重機船が同法2条1項19号の規定の運用上同規定にいう「船舶」に含まれるものとして取り扱われていること,建設機械抵当法の適用に関しては前記「リグ」は「船舶」として取り扱われていたものと認められること,船舶安全法及び船舶法の適用に関しては前記「リグ」が「日本船舶」として取り扱われていたものと認められることからして,前記「リグ」をもって,「船舶」に含まれるとみることが格別不自然であるとはいい難いとして,前記株式会社に対し,前記「リグ」の賃借料が,所得税法161条3号が国内源泉所得と定める「船舶」の貸付けによる対価に該当し,同法212条1項により源泉徴収の対象になるとしてされた所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分が,適法とされた事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/553/084553_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84553
Read More
判示事項(by裁判所):
1都市計画法(平成23年法律第124号による改正前)29条に基づく開発行為許可処分及び同法35条の2に基づく開発行為変更許可処分の取消しを求める訴えにつき,開発区域から水平距離で約4メートル隔てた場所に居住している者及び開発区域から水平距離で約30メートル隔てた場所に居住している者の原告適格が肯定された事例
2都市計画法(平成23年法律第124号による改正前)29条に基づく開発行為許可処分及び同法35条の2に基づく開発行為変更許可処分の取消請求が,棄却された事例
要旨(by裁判所):1都市計画法(平成23年法律第124号による改正前)29条に基づく開発行為許可処分及び同法35条の2に基づく開発行為変更許可処分の取消しを求める訴えにつき,同法33条1項2号は,開発区域内の住民の利益を保護する趣旨にとどまらず,当該開発許可に係る開発区域内における予定建築物等の火災等の災害による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に居住する者の生命・身体の安全を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含むものと解するのが相当であるところ,開発区域から水平距離で約4メートル隔てた場所に居住している者及び開発区域から水平距離で約30メートル隔てた場所に居住している者は,いずれも予定建築物等に火災等の災害が発生した場合,同建築物の倒壊等により,直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住する者であると認められるとして,同法33条1項2号を根拠に同人らの原告適格が肯定された事例
2都市計画法(平成23年法律第124号による改正前)29条に基づく開発行為許可処分及び同法35条の2に基づく開発行為変更許可処分の取消請求につき,前記各処分には同法33条1項2号違反その他の取消事由は認められないとして,これを棄却した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/547/084547_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84547
Read More
判示事項(by裁判所):
所得税法(平成21年法律第13号による改正前)95条2項に基づき,外国税額控除を受けようとする場合における同条6項にいう「各年」とは,「繰越控除限度額に係る年のうち最も古い年」,すなわち,同条2項に基づく控除を受けようとする年の前年以前3年以内であって所得税法施行令(平成21年政令第104号による改正前)224条1項に基づきその年の控除限度超過額に充てられることとなる国税の控除余裕額の存在する年のうち最も古い年を始まりとして,それ以後同法95条2項に基づく控除を受けようとする年までの各年を意味すると解すべきであるとして,税務署長がした所得税の更正処分及びこれに伴う過小申告加算税の賦課決定処分が,適法とされた事例
要旨(by裁判所):税務署長が,所得税法(平成21年法律第13号による改正前)95条2項に基づき,前々年分の控除限度額を繰り越して使用することにより外国税額控除をして確定申告した者に対してした所得税の更正処分及びこれに伴う過小申告加算税の賦課決定処分につき,同項に基づき控除余裕額の繰越使用により所得税から控除し得る額は,これを受けようとする年の前3年以内の各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなった外国所得税の額のそれぞれに基づいて計算されるものであるとした上で,同条6項にいう「各年」とは,「繰越控除限度額に係る年のうち最も古い年」,すなわち,同条2項に基づく控除を受けようとする年の前年以前3年以内であって所得税法施行令(平成21年政令第104号による改正前)224条1項に基づきその年の控除限度超過額に充てられることとなる国税の控除余裕額の存在する年のうち最も古い年を始まりとして,それ以後同法95条2項に基づく控除を受けようとする年までの各年を意味すると解すべきであり,前記確定申告をした者の同年分の確定申告書には同条6項所定の事項の記載がないなどとして,前記各処分を適法とした事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/544/084544_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84544
Read More
判示事項(by裁判所):
技術検討委員会の議事録のうち委員の意見に関する部分及び委員との打合せメモは大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号)7条4号の非公開情報ないし行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条5号の不開示情報に該当するが,同議事録のうち事務局の説明等の部分及び同打合せメモに記載された担当者の発言や提出資料名は,同条例7条4号の非公開情報ないし同法5条5号の不開示情報に該当しないとされた事例
要旨(by裁判所):街路事業と有料道路事業との合併施行方式により実施される自動車専用道路の建設事業において,道路構造物と堤防を一体とした場合の安全性,施行方法及び維持管理手法等について技術的な審議を行うことを目的として設置された技術検討委員会の議事録等に係る大阪市情報公開条例(平成13年大阪市条例第3号)に基づく公文書の公開請求及び行政機関の保有する情報の公開に関する法律に基づく行政文書の開示請求に対してそれぞれされた部分公開決定及び一部開示決定について,科学技術に関する専門家が非公開の場で専門的知見に基づく議論をするような場合であっても,前例のない事業に関する問題点を議論する場合においては,各人が有する専門的知見を前提としつつも,十分に煮詰められていない着想にとどまるものをあえて提示したり,あるいは極端な例を挙げて説明をしたりすることも十分に予想し得ることに加え,逐語的な反訳文が議事録として一般に公表されるとすると,議論の参加者が確信を持てないまでも新たな発想を披露した場合に批判を受けることや,片言隻句をとらえた批判をされることをおそれるなど,自由な発言を躊躇することも十分に想定し得るものであって,委員の自由闊達な議論が阻害される客観的かつ具体的な危険性・可能性があるから,同議事録のうち委員の意見に関する部分は同条例7条4号の非公開情報に該当し,また,委員との打合せメモも同号の非公開情報ないし同法5条5号の不開示情報にそれぞれ該当するが,同議事録のうち事務局の説明等の部分及び同打合せメモに記載された担当者の発言や提出資料名は,同条例7条4号の非公開情報ないし同法5条5号の不開示情報に該当しない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/538/084538_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84538
Read More
判示事項(by裁判所):
市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出が違法でないとされた事例
要旨(by裁判所):普通地方公共団体の長には,生活排水処理施設のための施策について,政策的,技術的な見地からの判断を要することに照らし,広範な裁量があるとした上で,市の浄化槽整備推進事業に係る公金の支出は,市域の一部が水質汚濁防止法の生活排水対策重点地域に指定されている状況の下で,生活排水の100%適正処理という政策目標を早期に達成するという同事業の目的は合理的なものであり,生活排水処理施設として必要な性能を有し,短期間で設置が完了する浄化槽を,地域の特性等に応じて整備することに同目的の達成手段としての合理性が認められること,前記事業の実施地域について,将来的に人口が大幅に減少すると予測し,人口減少地域では事業効果を得にくい下水道事業よりも規模を調整しやすい浄化槽事業が適していると評価することが,市全体における生活排水の適正処理を早期に実現するため,公共下水道の整備着手が可能になるのを待たずに浄化槽の整備を進めることが不合理とはいえないなどとして,前記事業を実施するとの市長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又は濫用したものとはいえず,違法でないとした事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/522/084522_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84522
Read More
判示事項(by裁判所):
1道路交通法51条の4第4項にいう「使用者」の意義
2放置車両の自動車登録ファイルに使用者として登録されていた者が道路交通法51条の4第4項にいう「使用者」に当たらないとされた事例
要旨(by裁判所):1道路交通法51条の4第4項にいう「使用者」とは,放置車両の権原を有し,車両の運行を支配し管理する者であり,同車両の運行についての最終的な決定権を有する者をいう。
2放置車両の自動車登録ファイルに使用者として登録されていた者は,次の(1)〜(3)など判示の事情の下では,道路交通法51条の4第4項にいう「使用者」に当たらない。
(1)前記被登録者は,前記車両による違法駐車に先立ち,自らが取締役を務める会社の債権者に対し,その債務の支払に代える趣旨で前記車両を引き渡していた。
(2)前記違法駐車は,前記引渡しの約6年6か月後,前記被登録者の居住地から遠く離れた場所でされた。
(3)前記被登録者は,前記債権者の素性や連絡先を知らない上,前記期間中,前記車両の使用者や所在を把握していなかった。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/510/084510_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84510
Read More
判示事項(by裁判所):
1金融商品取引法211条1項に基づく差押えが適法とされるために必要な差押物件と犯則嫌疑事実との間の関連性の有無の判断方法
2金融商品取引法211条1項所定の「犯則事件を調査するため必要がある」旨の要件該当性の判断方法
要旨(by裁判所):1金融商品取引法211条1項に基づく差押えが適法とされるために必要な差押物件と犯則嫌疑事実との間の関連性は,差押えの執行の時点において,動機,目的,経緯,背景事情等の間接事実,情状に関する事実等を含めた犯則嫌疑事実に関する事実と差し押さえようとする物件との間に関連性があることの蓋然性が一応認められれば足りる。
2金融商品取引法211条1項所定の「犯則事件を調査するため必要がある」旨の要件は,差押物件と犯則嫌疑事実との間の関連性が認められる場合には,犯則嫌疑事実の態様,軽重,差押物の証拠としての価値,重要性,差押物が隠滅毀損されるおそれの有無,差押えによって受ける被差押者の不利益の程度その他諸般の事情に照らし明らかに差押えの必要性がないと認められる特段の事情のない限り,存在するものと認められる。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/499/084499_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=84499
Read More