Archive by month 3月
事案の概要(by Bot):
本件対象行為は,対象者が,平成28年9月3日,神奈川県内の書店において,被害女性(当時52歳)に対し,突然体当たりしてその場に転倒させる暴行を加え,よって,同人に全治約2か月間を要する仙椎骨折の傷害を負わせた,というものである。横浜地方検察庁小田原支部検察官は,対象者について心神耗弱者と認め,平成29年2月3日,本件対象行為について公訴を提起しない処分をするとともに,医療観察法33条1項の申立をした。これを受け,原審は,鑑定人作成の鑑定書(補充部分を含む。)及び横浜保護観察所長作成の生活環境調査結果報告書を含む一件記録に加え,同年3月28日の審判期日の結果等をも踏まえ,同年4月4日,医療観察法42条1項1号により,対象者に対し,医療を受けさせるために入院させる旨決定した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/502/087502_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87502
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事案の概要(by Bot):
原告は,A(以下「被害者」という。)の配偶者であり,被害者は,原告と逗子市内に居住していた。被害者は,元交際相手であるB(以下「加害者」という。)からストーカー行為ないしこれに類する行為(以下「ストーカー行為」という。)の被害を受けており,被告の住民基本台帳事務におけるDV等支援措置(以下「DV等支援措置」という。)の対象者となっていたが,加害者にその住所を特定され,加害者により殺害された。本件は,被害者を相続した原告が,被告に対し,被告の総務部納税課に勤務していた担当者(以下「本件担当者」という。)が,その職務上知り得た情報である被害者の住民登録上の住所を,被害者の夫を装った者に電話で伝えたこと(以下「本件情報漏えい」という。)により,被害者がそのプライバシーを違法に侵害され,精神的苦痛を受けたと主張して,国家賠償法(以下「国賠法」という。)1条1項に基づく損害賠償として1100万円(被害者の慰謝料1000万円及び弁護士費用100万円の合計)及びこれに対する本件情報漏えいがされた日である平成24年11月5日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/501/087501_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87501
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事案の概要(by Bot):
本件は,
「海宝源」(標準文字)と書してなる商標(以下「本件商標1」という。) に係る商標登録第5072089号の商標権(以下「本件商標権1」という。)及び「marine premium」(標準文字)と書してなる商標(以下「本件商標2」といい,本件商標1と併せて「本件各商標」という。)に係る商標登録第5072090号の商標権(以下「本件商標権2」といい,本件商標権1と併せて「本件各商標権」という。)を有する原告が,被告会社が加工食品の包装に別紙1被告標章目録記載の各標章(以下,個別には同目録の番号に対応して「被告標章1」などといい,これらを併せて「被告各標章」という。なお,同目録記載1及び5に「標準文字 字体を問わない」とあるのは,「海宝源」又は「marine premium」との文字列からなる標章を,字体を問うことなく被告標章1又は同5として特定する趣旨と解される。)を付し,又は被告会社が製造し,被告各標章を包装に付した加工食品を販売し若しくは販売のために展示する行為は,本件商標権1又は同2を侵害するとみなされる行為(商標法37条2号)であると主張して,被告会社に対し,商標法36条1項に基づく上記各行為の差止め,同条2項に基づく被告各標章が付された包装及び被告会社が製造し被告各標章を包装に付した加工食品の廃棄をそれぞれ求めると共に,商標権侵害の不法行為による損害賠償請求権(損害賠償の対象期間は,平成23年1月から平成26年7月までである。)及び連帯保証契約に基づく保証債務履行請求権に基づき,被告らに対し,連帯して損害賠償金2812万7574円(損害額合計3859万0802円〔逸失利益3608万5759円及び弁護士費用250万5043円〕の一部請求。その内訳は,逸失利益2630万1730円,弁護士費用182万5844円である。)及びこれに対する被告会社による不法行為後の日である平成26年10月1日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め, 原告が,被告会社が自ら鮫関連商品を製造し又は原告以外の者から購入する行為は,原告と被告会社との間の鮫関連製品・原材料に関する取引基本契約(以下「本件基本契約」といい,その契約書を「本件契約書」という。)の債務不履行に当たると主張して,債務不履行による損害賠償請求権(損害賠償の対象期間は,平成23年1月から平成26年7月までである。)及び連帯保証契約に基づく保証債(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/500/087500_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87500
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事案の概要(by Bot):
本件は,特許無効審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。争点は,進歩性の有無(引用発明の認定の当否,本件発明と引用発明との対比判断の当否,相違点に係る判断の当否)についての認定判断の当否である。
発明の要旨(By Bot):
本件発明の要旨は,以下のとおりである。
(本件発明1)実質的に,スズ,銀,銅,ビスマス,アンチモンおよびコバルトからなるはんだ合金であって,前記はんだ合金の総量に対して,前記銀の含有割合が,2質量%以上4質量%以下であり,前記銅の含有割合が,0.3質量%以上1質量%以下であり,前記ビスマスの含有割合が,4.8質量%を超過し10質量%以下であり,
前記アンチモンの含有割合が,3質量%以上10質量%以下であり,前記コバルトの含有割合が,0.001質量%以上0.3質量%以下であり,前記スズの含有割合が,残余の割合であることを特徴とする,はんだ合金。
(本件発明2)さらに,ニッケル,インジウム,ガリウム,ゲルマニウムおよびリンからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有し,はんだ合金の総量に対して,前記元素の含有割合が,0質量%超過し1質量%以下である,請求項1に記載のはんだ合金。 (本件発明3)前記銅の含有割合が,0.5質量%以上0.7質量%以下である,請求項1または2に記載のはんだ合金。
(本件発明4)前記ビスマスの含有割合が,4.8質量%を超過し7質量%以下である,請求項1〜3のいずれか一項に記載のはんだ合金。 (本件発明5)前記アンチモンの含有割合が,5質量%以上7質量%以下である,請求項1〜4のいずれか一項に記載のはんだ合金。 (本件発明6)前記コバルトの含有割合が,0.003質量%以上0.01質量%以下である,請求項1〜5のいずれか一項に記載のはんだ合金。 (本件発明7)請求項1〜6のいずれか一項に記載のはんだ合金からなるはんだ粉末と,フラックスとを含有することを特徴とする,ソルダペースト。 (本件発明8)請求項7記載のソルダペーストのはんだ付によるはんだ付け部を備えることを特徴とする,電子回路基板。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/499/087499_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87499
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事案の要旨(by Bot):
?本件は,中間判決別紙目録記載の各特許出願(本件出願1ないし4)の特許請求の範囲に記載された発明(本件発明1ないし4)について,平成14年11月26日に原被告間で共同出願契約(本件契約)が締結され,同目録記載の各出願日にそれぞれ本件出願1ないし4(本件各出願)がされたところ,原告が,被告が本件契約上の義務に違反して,出願審査請求をしないまま審査請求期間を徒過し,原告の本件発明1ないし4(本件各発明)について特許を受ける権利を失わせた旨主張して,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求(本件各請求)として,2億円及びこれに対する訴状送達日の翌日である平成25年8月20日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。原告は,本件各出願に係る損害について,いずれも2億円を上回るから,これらの各損害の賠償請求は選択的併合の関係にあって,本件各請求は一部請求であると主張している。
?当審において,平成28年2月19日,本件各請求に関し,本件各請求中,被告が本件出願1及び2について出願審査請求をしなかったことを内容とする債務不履行に基づく損害賠償請求の原因(数額の点は除く。)は理由がある(被告が本件出願3及び4について出願審査請求をしなかったことを内容とする債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償の原因は理由がない)旨の中間判決がされた。
?本判決は,中間判決を前提として,被告が本件出願1及び2について出願審査請求をしなかったことによる損害賠償額(損害額のほか,過失相殺及び損益相殺を含む。)に関するもののみについて審理した結果,本件各請求の当否について,当裁判所の終局的な判断を示すものである。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/498/087498_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87498
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事案の概要(by Bot):
1請求の内容
?本訴事件
本訴事件は,別紙1著作物目録記載1ないし4の各映像(以下,番号に対応して「本件映像1」などといい,併せて「本件各映像」という。)の著作者及び著作権者である原告が,被告が原告の許諾なく本件各映像を使用して製作した別紙3映画
目録記載の映画(以下「本件映画」という。)につき,?被告が本件映画を上映する行為は本件各映像につき原告が有する上映権(著作権法22条)を侵害する,?被告が本件映画を記録したDVDを販売する行為は本件各映像につき原告が有する頒布権(著作権法26条1項)を侵害する,?被告が本件映画の上映に際して原告の名称を表示しなかったことは本件各映像につき原告が有する氏名表示権(著作権法19条1項)を侵害する,?本件映像2のうち別紙2−2「著作物目録の著作物2」のないしの部分(約8秒。同別紙に「未公表部分」との記載のあるもの)及び本件映像4(原告第2準備書面5頁に「原告著作物3」とあるのは,同準備書面別紙の記載に照らし,「原告著作物4」の誤記と認められる。)のうち別紙2−4「著作物目録の著作物4」のないしの部分(約5秒。同別紙に「未公表部分」との記載のあるもの。以下,上記2つの部分を併せて「本件部分」という。)は, 公表されていない著作物であったから,被告が本件部分の映像を使用した本件映画を上映したことは,本件部分につき原告が有する公表権(著作権法18条1項)を侵害するなどと主張して,被告に対し,?著作権法112条1項に基づき(本件各映像が映画の著作物であることを前提に,著作権〔上映権,公衆送信権及び頒布権(著作権法22条の2,23条及び26条)〕又は著作者人格権〔氏名表示権(同法19条)〕の侵害又はそのおそれを主張する趣旨と解される。),本件各映像を含む本件映画の上映,公衆送信及び送信可能化並びに本件映画の複製物の頒布の差止めを求め,?同条2項に基づき,本件映画を記録した媒体及び本件各映像を記録した媒体からの本件各映像の削除を求め,?著作権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金111万0160円及びこれに対する不法行為後の日である平成27年6月21日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,?著作者人格権侵害の不法行為による損害賠償請求権に基づき,損害賠償金300万円及びこれに対する不法行為後の日である平成27年6月21日から支払済みまでの民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求め,?著作権法115条に基づき,別紙4謝罪広告要領記載の要領により別紙5謝罪広告内容記載の謝罪広告を掲載す(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/497/087497_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87497
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理由の要旨(by Bot):
(1)本件審決の理由は,別紙審決書(写し)のとおりである。要するに,本件意匠は,下記ア,イの引用例に記載された意匠(順に,「引用意匠1」,「引用意匠2」という。)に基づいて当業者が容易に創作できた意匠に該当するとはいえないから,意匠法3条2項により本件意匠登録を無効とすることはできない,というものである。 ア引用例1:特許国際公開公報,国際公開番号WO2006/004290A1(別紙2引用意匠図面。甲1図6。2006年1月12日公開。) イ引用例2:中国実用新型専利説明書,公告番号CN200980547Y
(2)本件審決は,その前提として,本件意匠及び引用意匠1について,以下のとおり認定した。
ア本件意匠
意匠に係る物品は,「箸の持ち方矯正具」である。本物品は,2つの部品からなり,2本一対の箸のそれぞれに挿入して取り付け,一方の部品に人差し指,もう一方の
部品に薬指を挿入して,箸の持ち方を矯正するための器具として使用するものであり,箸に適宜着脱して使用するものである。本件意匠の形態は,以下の(あ)ないし(か)のとおりである。なお,2つの部品のうち,願書に添付された図面中【持ち方矯正具を取り付けた箸を持った状態の参考斜視図】において,薬指を挿入している方の部品,つまり正投影図法による一組の図において,図の表示を【箸の持ち方矯正具のもう一方の正面図】等としている方を,以下「構成部品A」といい,人差し指を挿入している方の部品,つまり正投影図法による一組の図において,図の表示を【箸の持ち方矯正具の片方の正面図】等としている方を,以下「構成部品B」という。(あ)全体の基本的な構成態様について,どちらの部品も,箸に挿入する筒状体(以下「取付部」という。)と指を挿入する環状体(以下「リング部」という。)からなり,取付部の外周にリング部を立設させて結合したものである。((以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/496/087496_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87496
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事案の要旨(by Bot):
(1)本件は,次の本訴と反訴から成る事案である。
ア本訴
被控訴人が,「被控訴人ソフトウェアにおけるパスワード登録システムの使用が特許第4455666号に係る控訴人の特許権を侵害し,又は侵
3害するおそれがある」旨を告知・流布する控訴人の行為が不正競争防止法2条1項15号に該当する旨主張して,控訴人に対し,同法3条1項に基づき,上記告知・流布の一部である1000万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成28年1月13日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,不正競争防止法14条に基づき,謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案。 イ反訴
発明の名称を「ユーザ認証方法およびユーザ認証システム」とする三つの特許に係る各特許権(以下,「本件特許権1」ないし「本件特許権3」,併せて「本件各特許権」という。)を有する控訴人が,主位的に,被控訴人による被控訴人ソフトウェアの生産,販売及び販売の申出(販売等)が,本件特許権1及び本件特許権2を侵害するものとみなされる行為並びに本件特許権3を侵害する行為に当たり,被控訴人による被控訴人製品の販売等が,本件各特許権を侵害するものとみなされる行為に当たると主張し,予備的に,被控訴人製品の購入者が被控訴人製品と端末装置等とを組み合わせてワンタイムパスワード導出パターンの登録方法を構築する行為等が本件各特許権の侵害に当たり,被控訴人はこれを教唆又は幇助していると主張して,被控訴人に対し,特許法100条1項に基づき,被控訴人製品の生産,譲渡又は譲渡の申出の同条2項に基づき,被控訴人製品の廃棄を,不法行為に基づく損害賠償(いずれも特許法102条3項による。)として合計2億0700万円のうち1000万円及びこれに対する不法行為後である平成28年6月4 4日(反訴状送達日の翌日(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/495/087495_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=87495
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要旨(by裁判所):
1労作性狭心症を申請疾病とする原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請を却下する処分が違法であるとして取り消された事例。
2原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律11条1項に基づく原爆症認定の申請につき,放射線起因性の要件の充足に関する判断を誤って却下したことが国家賠償法上違法とはいえないとされた事例。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/494/087494_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87494
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要旨(by裁判所):
1原爆症認定の要件である申請疾病の放射線起因性については,当該被爆者の放射線への被曝の程度と,統計学的・疫学的知見等に基づく申請疾病等の放射線被曝との関連性の有無及び程度とを中心的な考慮要素としつつ,これに当該疾病等の具体的症状やその症状の推移,その他の疾病に至る病歴(既往歴),当該疾病等に係る他の原因(危険因子)の有無及び程度等を総合的に考慮して,原子爆弾の放射線への被曝の事実が当該申請に係る疾病若しくは負傷又は治癒能力の低下を招来した関係を是認し得る高度の蓋然性が認められるか否かを経験則に照らして判断するのが相当である。その判定は,通常人が疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ち得るものであることを要する。
2被爆者の放射線への被曝の程度については,DS02による初期放射線の被曝線量の推定は科学的根拠を有するが,その適用には一定の限界があること,新審査の方針の下での誘導放射線による被曝線量及び放射性降下物による被曝線量の評価はいずれも過小評価となっている疑いがあること,被爆者の被爆状況,被爆後の行動,活動内容,被爆後に生じた症状等によっては内部被曝の可能性があること,遠距離・入市被爆者であっても有意な放射線被曝があり得ることを考慮する必要がある。
3心筋梗塞及び狭心症の放射線被曝との関連性については,低線量域も含めて一般的に肯定することはできないが,低線量域の被曝とみられるような場合であっても個別事案の具体的事情に基づいて心筋梗塞及び狭心症の発症が被曝の影響を受けたものであることを肯定できる例も相当程度あるというべきである。
4甲状腺機能低下症の放射線被曝との関連性については,低線量域も含めて一般的に肯定することはできないが,低線量域の被曝とみられるような場合であっても個別事案の具体的事情に基づいて甲状腺機能低下症の発症が被曝の影響を受けたものであることを肯定できる例も相当程度あるというべきである。
5控訴人Aは,被爆者として狭心症を申請疾病とするものであり,健康に影響があり得る程度の線量の放射線に外部被曝及び内部被曝をしたものと認められるが,他の危険因子である生活習慣に起因する脂質異常症の程度が重く,申請疾病の放射線起因性が認められない。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求を棄却した原審の判断は相当である。
6訴訟承継前原告B1は,被爆者として火傷瘢痕を申請疾病とするが,実際にその治療を受けていなかったから,申請疾病の要医療性が認められない。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求を棄却した原審の判断は相当である。
7被控訴人Cは,被爆者として甲状腺機能低下症を申請疾病とするものであり,健康に影響があり得る程度の線量の放射線に外部被曝及び内部被曝をしたものと認められ,申請疾病の放射線起因性が認められる。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求を認容した原審の判断は相当である。
8被控訴人Dは,被爆者として甲状腺機能低下症と両白内障を申請疾病とするものであり,健康に影響があり得る程度の線量の放射線に外部被曝及び内部被曝をしたものと認められるが,上記申請疾病のうち甲状腺機能低下症については放射線起因性が認められる。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求のうち,同疾病に係る部分を認容した原審の判断は相当である。なお,上記申請疾病のうち両白内障に係る部分は,当審において審判の対象となっていない。
9訴訟承継前控訴人E1は,被爆者として心筋梗塞及び労作性狭心症を申請疾病とするものであり,健康に影響があり得る程度の線量の放射線に外部被曝及び内部被曝をしたものと認められるが,他の危険因子である原発性アルドステロン症に罹患していたことの程度が重く,申請疾病の放射線起因性が認められない。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求を棄却した原審の判断は相当である。
10被控訴人Fは,被爆者として甲状腺機能低下症を申請疾病とするものであり,健康に影響があり得る程度の線量の放射線に外部被曝及び内部被曝をしたものと認められ,申請疾病の放射線起因性が認められる。同人の原爆症認定の申請を却下する処分の取消しを求める請求を認容した原審の判断は相当である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/493/087493_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=87493
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