Archive by category 下級裁判所(行政事件)

【行政事件:各法人税更正処分等取消請求控訴事件(原審 ・東京地方裁判所平成23年(行ウ)第698号等)/東京高裁/平27・ 1・15/平26(行コ)158】分野:行政

判示事項(by裁判所):
1法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」の意義
2法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」の意義
3適格分割に関する要件(法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)2条12号の11の規定に基づき定められた法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)4条の2第6項1号に規定する「当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合」という要件)を形式的には充足せず非適格分割となるように計画された新設分割が同法132条の2にいう「その法人の行為(中略)で,これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当し,同条の規定に基づき否認することができるとされた事例

要旨(by裁判所):1法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」とは,同法132条と同様に,取引が経済的取引として不合理・不自然である場合のほか,組織再編成に係る行為の一部が,組織再編成に係る個別規定の要件を形式的には充足し,当該行為を含む一連の組織再編成に係る税負担を減少させる効果を有するものの,当該効果を容認することが組織再編税制の趣旨・目的又は当該個別規定の趣旨・目的に反することが明らかであるものも含む。
2法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)132条の2にいう「その法人の行為又は計算」とは,法人税につき更正又は決定を受ける法人の行為又は計算のほか,当該法人以外の法人であって同条各号に掲げられているものの行為又は計算も含む。
3適格分割に関する要件(法人税法(平成22年法律第6号による改正前のもの)2条12号の11の規定に基づき定められた法人税法施行令(平成22年政令第51号による改正前のもの)4条の2第6項1号に規定する「当事者間の完全支配関係が継続することが見込まれている場合」という要件)を形式的には充足せず非適格分割となるように計画された新設分割であっても,一連の組織再編成の計画を全体としてみると,「移転資産に対する支配」が継続しているか否かの指標とされる「当事者間の完全支配関係」が一時的に切断されるが短期間のうちに復活することが予定されており,実質的にみて,分割会社による「移転資産に対する支配」が継続する内容の分割であると評価されること,分割の態様が,分割承継法人にとって,事業上の必要性よりも,企業グループ全体での租税回避の目的を優先したものであると評価されること,一連の組織再編成の計画において当該新設分割に引き続いて行われることが予定されていた行為(分割法人が保有する分割承継法人の発行済株式全部の譲渡)はその事業上の必要性が極めて希薄であったこと,一連の組織再編成に関与する法人において当該新設分割が非適格分割とは認められない可能性が相当程度あることを認識していたことなど判示の事情の下においては,同号による税負担減少効果を容認することは,上記各条項が設けられた趣旨・目的に反することが明らかであるから,当該新設分割は,同法132条の2にいう「その法人の行為(中略)で,これを容認した場合には,(中略)法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるもの」に該当し,同条の規定に基づき否認することができる。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/445/085445_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85445

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【行政事件:所得税決定処分等取消請求事件/東京地裁/平2 7・5・28/平24(行ウ)152】分野:行政

判示事項(by裁判所):
1租税条約の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(平成22年総務省,財務省令第1号による改正前のもの)9条の2第1項又は7項による届出書の提出は,租税条約に基づく税の軽減又は免除を受けるための手続要件となるか。
2ある場所が所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約(平成16年条約第2号)5条4項各号に該当するとして恒久的施設から除外されるためには,当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であることを要するか。
3所得税法上の非居住者である甲がアメリカ合衆国から本邦に輸入した自動車用品をインターネットを通じて専ら日本国内の顧客に販売する事業の用に供していたアパート及び倉庫が所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約5条の規定する恒久的施設に該当するとされた事例
4所轄税務署長が,上記3の販売事業における平成17年分ないし平成20年分の各収入金額(売上金額)に,甲の平成16年分の事業所得に係る青色申告特別控除前の所得金額の総収入金額に占める割合を乗じる方法によって,上記販売事業につき,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約に基づき恒久的施設に配分される課税所得となる所得金額を推計したことについて,推計の必要性及び合理性があるとされた事例

要旨(by裁判所):1租税条約の実施に伴う所得税法,法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令(平成22年総務省,財務省令第1号による改正前のもの)9条の2第1項又は7項による届出書の提出は,租税条約に基づく税の軽減又は免除を受けるための手続要件とはならない。
2所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約5条4項?号ないし?号は,準備的又は補助的な性格の活動の例示であり,ある場所が同項各号に該当するとして恒久的施設から除外されるためには,当該場所での活動が準備的又は補助的な性格であることを要する。
3所得税法上の非居住者である甲が,Aという屋号で営む企業のホームページ等に上記企業の所在地及び連絡先として本邦内にあるアパートの住所及び電話番号を掲載して販売活動を行っていること,上記企業に係る販売事業が全てインターネットを通じて行われ,上記アパート及び本邦内にある倉庫に保管された在庫商品を販売するという事業形態であることなどの事情によれば,上記アパート等は上記販売事業における唯一の販売拠点(事業所)としての役割・機能を担っていたというべきであり,上記企業の従業員が,上記アパート等において,通信販売である上記販売事業にとって重要な業務(商品の保管,梱包,配送,返品の受取り等)を行っていたことに鑑みても,上記アパート等が上記販売事業にとって準備的又は補助的な性格の活動を行っていた場所であるということはできないから,上記アパート等は,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約5条4項各号のいずれにも該当せず,同条1項の規定する恒久的施設に該当する。
4上記3の販売事業は,全て恒久的施設である上記3のアパート等を通じて行われたものであるところ,所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の条約7条に基づき課税できる所得の範囲は,同条2項及び3項に基づき,上記アパート等を甲と独立の立場にある企業と擬制した上で,上記販売事業により生じた国内源泉所得を上記の擬制された企業に配分することによって算定される所得金額であると解すべきあるが,甲が,上記販売事業における所得金額等を申告せず,所轄税務署の職員から帳簿書類等の提出を繰り返し要求されてもこれを拒絶していたことによれば,上記所得金額は推計の方法によって算出せざるを得ず,甲の平成16年分の事業所得に係る青色申告特別控除前の所得金額の総収入金額に占める割合が,甲が日本国内に居住しながら上記アパートを販売拠点として上記販売事業を営んでいた当時のものであること,平成17年分ないし平成20年分における収入金額が税務調査によって把握した実額であり,上記割合が平成16年分所得税青色申告書に基づき算出されたものであること,平成16年分と平成17年分ないし平成20年分において,上記販売事業の基本的内容に変化はないことなどの事情に鑑みれば,上記販売事業における平成17年分ないし平成20年分の各収入金額(売上金額)に上記割合を乗じて,課税所得となる所得金額を推計した方法は,上記の擬制された企業が上記アパート等を販売拠点(事業所)として事業活動をした場合において取得したと見られる利得を推計する方法として合理性がある。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/442/085442_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85442

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【行政事件:所得税更正処分取消等請求事件/東京地裁/平2 7・5・28/平25(行ウ)36】分野:行政

判示事項(by裁判所):
証券会社の従業員が株式報酬制度に基づいて取得した外国法人であるその親会社の株式の支払について,同証券会社によって源泉徴収されるべき所得税の額があるとはいえないとされた事例

要旨(by裁判所):証券会社の従業員が株式報酬制度に基づいて外国法人であるその親会社の株式を取得した場合において,同制度に基づくアワード(同株式等を受け取る不確定な権利)の付与の主体が同親会社であって,付与の仕組みにおいて同親会社が支払債務を有する債務者であることが前提とされており,同株式の一連の支払手続は,同親会社からの指示を受けて,英国に事務所を置く関連会社が取り扱ったなど判示の事情の下では,同株式の支払について同証券会社によって源泉徴収されるべき所得税の額があるとはいえない。

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http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/441/085441_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
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【行政事件:課徴金納付命令取消請求控訴事件(原審・東 京地方裁判所平成25年(行ウ)第271号)/東京高裁/平27・7・10/ 27(行コ)51】分野:行政

判示事項(by裁判所):
同一人が,特定の銘柄の株式につき,一定期間に,繰り返し,自己の売り注文と買い注文とを同時刻に約定させる取引を行ったことが,金融商品取引法159条1項1号で禁止される仮装取引に当たるとしてした課徴金納付命令が,適法であるとされた事例

要旨(by裁判所):同一人が,特定の銘柄の株式につき,一定期間に,繰り返し,自己の売り注文と買い注文とを同時刻に約定させる取引を行ったことが,金融商品取引法159条1項1号で禁止される仮装取引に当たるとしてした課徴金納付命令につき,同一人が,特定の銘柄の株式につき,自己の売り注文と買い注文とを同時刻に約定させる取引をした場合,この取引は金融商品取引法159条1項1号の「権利の移転を目的としない仮装の有価証券の売買」(仮装売買)に当たり,また,取引の回数,市場占有率,出来高,当該仮装売買にはいわゆる現物クロス取引が多く含まれていたこと等の諸点に照らし,同号の「取引が繁盛に行われていると他人に誤解させる等その取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」を有していたものということができるとして,上記課徴金納付命令を適法であるとした事例

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http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/437/085437_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85437

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【行政事件:一時金申請却下処分取消請求事件/東京地裁/ 27・5・15/平24(行ウ)851】分野:行政

判示事項(by裁判所):
戸籍上は父である旨の記載がない者につき,中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律2条1項の適用上,申請者の父であり,「日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に当たると認められた事例

要旨(by裁判所):申請者の母の手紙の記載内容等,判示の事情を勘案すれば,戸籍上は父である旨の記載がない者であっても,中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法律2条1項の適用上,申請者の父であり,「日本国民として本邦に本籍を有していたもの」に当たると認められる。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/396/085396_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85396

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【行政事件:所得税更正処分等取消請求事件/東京地裁/平2 7・5・14/平24(行ウ)849】分野:行政

判示事項(by裁判所):
競馬の勝馬投票券(馬券)の的中による払戻金に係る所得が一時所得に該当するものであり外れ馬券の購入代金を総収入金額から控除することはできないとされた事例

要旨(by裁判所):競馬の勝馬投票券(馬券)の的中による払戻金に係る所得について,レースの結果を予想して,予想の確度に応じて馬券の購入金額を決め,どのように馬券を購入するのかを個別に判断していたという馬券購入の態様は,一般的な競馬愛好家による馬券購入の態様と質的に大きな差がなく,自動的,機械的に馬券を購入していたとまではいえないし,馬券の購入履歴や収支に関する資料が何ら保存されておらず,網羅的に馬券を購入していたのかどうかを含めて馬券購入の態様は客観的には明らかでないことからすると,一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するものとはいえず,馬券の的中による払戻金に係る所得は,結局のところ,個別の馬券が的中したことによる偶発的な利益が集積したにすぎないものであって,営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得に該当し,また,払戻金の交付者に対して何ら役務が提供されていないため,労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものに該当するから,上記のような態様によって購入された馬券の的中による払戻金に係る所得は一時所得に該当し,馬券の購入が一体の経済活動の実態を有するものとまではいえないことからすると,馬券が的中したことによる払戻金に関して「その収入を生じた行為をするため直接要した金額」又は「その収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」は,当該払戻金に個別的に対応する馬券の購入代金,すなわち,的中馬券の購入代金ということになるから,一時所得である馬券の的中による払戻金に係る所得の総収入金額から控除されるのは的中馬券の購入代金に限られ,当該払戻金に個別的に対応しない馬券の購入代金,すなわち,外れ馬券の購入代金は,何ら収入を発生させていない以上,馬券の的中による払戻金に係る所得の総収入金額からは控除されない。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/392/085392_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85392

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【行政事件:法人税更正処分取消等請求控訴事件(原審・ 東京地方裁判所平成23年(行ウ)第370号)/東京高裁/平27・2・25 /平26(行コ)278】分野:行政

判示事項(by裁判所):
英国領ケイマン諸島に本店を有し国内源泉所得を有する外国法人が租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前のもの)66条の6第1項の特定外国子会社等に該当するとされた事例

要旨(by裁判所):英国領ケイマン諸島に本店を有する外国法人で国内源泉所得を有するものについて,当該国内源泉所得に対して本邦において法人税等が課され,それについて租税特別措置法(平成20年法律第23号による改正前のもの)66条の7の外国法人税に該当するとした上での同条の規定等による課税関係の調整がされる余地がないとしても,判示の事情の下では,当該外国法人は同法66条の6第1項の特定外国子会社等に該当するといえ,当該国内源泉所得は当該外国法人の「未処分所得の金額」に含まれるものとして課税関係の計算がされるというべきである。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/390/085390_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85390

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【行政事件:遺族厚生年金不支給処分取消請求控訴事件( 原審・東京地方裁判所平成25年(行ウ)第250号)/東京高裁/平27・4 ・16/平26(行コ)483】分野:行政

判示事項(by裁判所):
国民年金及び厚生年金の被保険者であった者の養子であり,かつ,その者と内縁関係にあった者について,遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとされた事例

要旨(by裁判所):原告と国民年金及び厚生年金の被保険者であった者との養子縁組は,同人が刑務所に収容されることとなった場合に,原告が養女として面会することを主要な目的としてされたものであり,両者の交際関係を維持するための便宜的又は一時的な側面を有していたことは否めないものの,社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をおよそ欠くものであったとはいえず,有効というべきであるとした上で,養親子間の内縁関係は,養親子間の婚姻を禁止する民法734条に抵触し,一般的に,反倫理性,反公益性が極めて大きい関係というべきであって,判示の事情の下では,養親子間の婚姻を禁止すべき公的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国民年金法及び厚生年金保険法の目的を優先させるべき特段の事情があったともいえないから,原告は,遺族年金を受けることができる遺族(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者)に該当するとはいえないとした事例

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http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/389/085389_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85389

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【行政事件:選挙無効請求事件/東京高裁/平27・3・25/平26( ケ)24】分野:行政

判示事項(by裁判所):
平成26年12月14日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,東京都第2区等の選挙人らが,公職選挙法の定める選挙区割りは憲法による投票価値の平等の要求(憲法14条1項等)に違反する無効なものであるから,これに基づき施行された前記選挙区等の選挙も無効であるなどとしてした選挙の無効請求が,棄却された事例

要旨(by裁判所):平成26年12月14日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,東京都第2区等の選挙人らが,公職選挙法の定める選挙区割りは憲法による投票価値の平等の要求(憲法14条1項等)に違反する無効なものであるから,これに基づき施行された前記選挙区等の選挙も無効であるなどとしてした選挙の無効請求につき,前記選挙時においても,選挙区数を減じた5県以外の都道府県については,1人別枠方式により配分された選挙区数がそのまま維持されていたことを主な原因として,選挙人数が最少である宮城県第5区との較差が2倍以上となっている選挙区が13存在したことを考慮すると,前記選挙区割りは,なお憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものというべきであるとした上で,国会は,最高裁判所平成23年3月23日大法廷判決の時点において,1人別枠方式による選挙区割りが憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあることを認識し,この時点から是正の責務が生じたものであるが,この時点から前記選挙までの間,漸次的な見直しである0増5減等の措置が実現し一定の前進があり,その後も是正の実現に向けた取組が継続していること,0増5減等の措置が完了した平成25年6月24日から前記選挙までの間に,1人別枠方式により配分された選挙区数がそのまま維持されている都道府県の選挙区数すなわち議員定数について再配分の方式を定め,それに従って都道府県の選挙区数を決め,区画審の審議・勧告を経たうえ,各選挙区割りを定めることは必ずしも容易ではないことなどを考慮すると,前記選挙時までに平成23年大法廷判決が求めている是正が実現しなかったことについて,憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとまではいえず,前記選挙区割りを定めた公職選挙法の規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するとはいえないなどとして,前記請求を棄却した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/388/085388_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85388

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【行政事件:保安林指定解除拒否処分取消等,市道供用開 始決定等無効確認,公共用物使用収益拒否処分取消等,損害賠 償請求控訴事件(原審・名古屋地方裁判所平成23年(行ウ)第1 00号(「甲事件」という。),同56号(「乙事件」という。) 平成24年(行ウ)第109号(「丙事件」という。),平成25年( )第1716号(「丁事件」という。))/名古屋高裁/平27・3・19/ 26(行コ)39】分野:行政

判示事項(by裁判所):
1鉱山開発業者の森林法27条1項に基づく保安林解除申請につき農林水産大臣がした保安林指定の解除をしない旨の処分が適法であるとされた事例
2市道敷地の所有者が,当該市道について黙示の公用廃止がされたとして,自らが同土地について道路法4条の制限を受けない完全な所有権を有することの確認を求める請求が,棄却された事例

要旨(by裁判所):1鉱山開発業者の森林法27条1項に基づく保安林解除申請につき農林水産大臣がした保安林指定の解除をしない旨の処分が適法であるとされた事例
2市道敷地の所有者が,当該市道について黙示の公用廃止がされたとして,自らが同土地について道路法4条の制限を受けない完全な所有権を有することの確認を求める請求につき,黙示の公用廃止があったというためには,少なくとも「公共用財産としての形態,機能を全く喪失したこと」を要するとした上,当該市道の一部が道路の形状をしていることが写真により確認できることなどから,当該市道が道路としての形態,機能を全く喪失していたとはいい難いとして,上記請求を棄却した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/387/085387_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85387

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【行政事件:行政処分取消等請求控訴事件(原審東京地方 裁判所平成25年(行ウ)第501号)/東京高裁/平27・2・4/平26(行コ )353】分野:行政

判示事項(by裁判所):
小平市の住民投票条例(平成25年小平市条例第13号)に基づき行われた住民投票における投票用紙に記録された情報が,小平市情報公開条例(平成13年小平市条例第29号)7条1号に非開示情報として規定する「法令等の定めるところにより,公にすることができないと認められる情報」に該当するとされた事例

要旨(by裁判所):小平市情報公開条例(平成13年小平市条例第29号)7条1号に非開示情報として規定する「法令等の定めるところにより,公にすることができないと認められる情報」とは,法令等の規定が公にすることを明らかに禁止している場合,法令等の趣旨及び目的から当然に公にすることができないと認められる場合等をいうものであるところ,東京都の小平都市計画道路3・2・8号府中所沢線計画について住民の意思を問う住民投票条例(平成25年小平市条例第13号)は,住民投票が成立しない場合は開票を行わない旨及び投票は秘密投票とする旨を定めており,これを受けて投票が有効であるか否かを問わず住民投票の全般にわたって投票の秘密を確保しようとしている前記住民投票条例及びその施行規則の規定は,少なくとも住民投票が不成立となって開票が行われない場合においては,原則としてこれを公にしないものとすることをその趣旨及び目的とするものというべきであり,判示の事情の下においては,各投票用紙に記録されている情報は,同号の非開示情報に該当する。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/386/085386_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85386

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【行政事件:政務調査費返還請求事件/大阪地裁/平27・4・8 /平24(行ウ)129】分野:行政

判示事項(by裁判所):
住民訴訟において,市議会の会派が,市から交付された政務調査費を,市政に関係しない国政政党の活動に関する広報誌としての性格をも併有する市政報告の印刷に係る費用に支出したことが,市の定める政務調査費の使途基準に違反するとされた事例。

要旨(by裁判所):4頁からなる市政報告のうち,1・2頁には概ね市政に関するものと認められる記述があるものの,3頁後半には,特定の法案に関する国政政党の取組等が,3頁の終わりから4頁にかけては当時の国政の与党に対する批判等が記載されており,3頁後半以降には,市政に関する直接の記述は見当たらないことに照らせば,当該市政報告は,市政報告としての性格だけでなく,市政に関係しない国政政党の活動に関する広報誌としての性格をも併有し,後者の記載部分の作成については,政党活動の一環として行われたものであり,市政に関する政務調査活動と合理的な関連性を有するものと評価することはできないから,後者の記載部分の印刷に係る費用に政務調査費を支出したことは,市の定める政務調査費の使途基準に違反する。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/385/085385_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85385

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【行政事件:裁決取消等請求事件/東京地裁/平27・3・20/平2 4(行ウ)70】分野:行政

判示事項(by裁判所):
教育事業等を目的とする株式会社に雇用され,小学校に派遣されて英語指導助手業務に従事していた外国人である原告による厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認の請求を却下する旨の処分が違法とされた事例

要旨(by裁判所):日本年金機構が,教育事業等を目的とする株式会社に雇用され,小学校に派遣されて英語指導助手業務に従事していた外国人である原告に対して,原告は厚生省保険局保険課長,社会保険庁医療保険部健康保険課長及び同部厚生年金課長の連名による都道府県民生主管部(局)保健課(部)長宛て昭和55年6月6日付け内かんが健康保険及び厚生年金保険の被保険者として取り扱うべきであるとする短時間就労者には当たらないなどとしてした,原告の厚生年金保険及び健康保険の被保険者の資格の確認の請求を却下する旨の処分は,上記株式会社との間の労働契約に基づく原告の労働時間等の判示の事情の下では,原告は,厚生年金保険法9条にいう「適用事業所に使用される70歳未満の者」及び健康保険法3条1項本文にいう「適用事業所に使用される者」から除外されるような短時間労働者には当たらず,厚生年金保険及び健康保険の被保険者であったと認められ,上記内かんの基準の当否について論ずるまでもなく,違法というべきである。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/381/085381_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85381

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【行政事件:業務停止処分取消請求事件/大阪地裁/平27・2 19/平24(行ウ)235】分野:行政

判示事項(by裁判所):
2階及び3階部分が,その中央付近に設置された階段,吹抜き及びエレベーターによって東西の各部分に分けられた構造の居住用建築物を設計した一級建築士に対して,複数の直通階段の設置を求める建築基準法35条,建築基準法施行令121条1項6号及び2項に違反する居住用建築物の設計であり,建築士法18条1項に違反する事由があるとして国土交通大臣がした業務停止処分が取り消された事例

要旨(by裁判所):2階及び3階部分が,その中央付近に設置された階段,吹抜き及びエレベーターによって東西の各部分に分けられた構造の居住用建築物を設計した一級建築士に対して,複数の直通階段の設置を求める建築基準法35条,建築基準法施行令121条1項6号及び2項に違反する居住用建築物の設計であり,建築士法18条1項に違反する事由があるとして国土交通大臣がした同法10条1項1号に基づく業務停止3か月の処分が,当該建築物は耐火構造の壁及び同時に開放されることのない2つの出入口を有する1台のエレベーターにより2つの区画に分断され,一方の区画から他方の区画に自由に行き来できない構造であって,各区画の床面積がいずれも複数の直通階段の設置が必要とされる床面積に満たないものであるから,上記建築基準法施行令の規定に違反する建築物の設計に当たらず,建築士法18条1項に違反する事由があるとは認められないとして,取り消された事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/380/085380_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85380

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【行政事件:選挙無効請求事件/福岡高裁/平27・3・25/平26( ケ)4】分野:行政

判示事項(by裁判所):
平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙について,それぞれ小選挙区福岡県第1区ないし第11区,佐賀県第1区及び第2区,長崎県第1区ないし第4区,熊本県第1区ないし第5区,大分県第1区ないし第3区の各選挙人が,衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に反して無効であるから,これに基づき施行された同選挙も無効であるとしてされた同各選挙区における選挙の無効請求が,いずれも棄却されるとともに,主文において同各選挙区における選挙がいずれも違法であると宣言された事例

要旨(by裁判所):平成26年12月14日施行の衆議院議員総選挙について,福岡県第1区ないし第11区,佐賀県第1区及び第2区,長崎県第1区ないし第4区,熊本県第1区ないし第5区,大分県第1区ないし第3区の各選挙人が,衆議院小選挙区選出議員の選挙の選挙区割りに関する公職選挙法の規定は憲法に反して無効であるから,これに基づき施行された同選挙も無効であるとしてされた同各選挙区における選挙の無効請求につき,同選挙時において,前記各選挙区割りには現実に投票価値の不平等の結果が生じており,憲法の要求する投票価値の平等に反する違憲状態にあると認められるところ,最高裁平成23年3月23日大法廷判決を受けて,1人別枠方式を定めた旧区画審設置法3条2項の規定が削除されるとともに選挙区間の人口較差を2倍未満に抑えるための0増5減による定数配分の見直し等を内容とする法律(衆議院小選挙区選出議員の選挙区間における人口較差を緊急に是正するための公職選挙法及び衆議院議員選挙区画定審議会設置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律)が成立し,平成22年国勢調査の結果による選挙区間の人口の最大較差は1.998倍に縮小されたとはいえ,前記0増5減による定数削減の対象とされた県以外の都道府県については,選挙区割りを定めるについて合理性を認めることができない1人別枠方式によって配分された定数が維持されており,今後の人口の変動により再び較差が2倍以上の選挙区が出現し増加する蓋然性が高いと推定されるなど,1人別枠方式の構造的な問題が最終的に解決されていないことなどからすれば,これまでの国会の取組は立法裁量権の行使として相当なものではなく,憲法上要求される合理的期間内を徒過していると認められるから,同選挙の選挙区割りを定めた前記規定は,同選挙当時,憲法が要求している投票価値の平等に反し,違憲であったとし,いわゆる事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項)の基礎に存する一般的な法の基本原則を適用して,前記請求を棄却するとともに,主文において同選挙が違法であると宣言した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/343/085343_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85343

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【行政事件:更正すべき理由がない旨の通知処分取消請求 控訴事件(原審・大阪地方裁判所平成24年(行ウ)第183号)/大 阪高裁/平27・3・6/平26(行コ)51】分野:行政

判示事項(by裁判所):
遺産分割に係る代償債務の不履行を理由として,その成立後にされた遺産分割協議の合意解除が,国税通則法施行令6条1項2号にいう「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」による解除に当たるとはいえないとされた事例

要旨(by裁判所):遺産分割に係る代償債務の不履行を理由として,その成立後にされた遺産分割協議の合意解除は,遺産分割協議が何らの錯誤や誤信等もなく成立したが,長年にわたって遺産分割に係る代償債権の回収が図られず,その結果,経済事情の変動等が原因で上記債権が経済的に無価値となった上,そのような事態が生じてから更に3年以上が経過した後,相続税の連帯納付義務を免れる目的をもって遺産分割協議が合意解除されたという事情の下では,国税通則法施行令6条1項2号にいう「当該契約の成立後生じたやむを得ない事情」による解除に当たるとはいえない。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/342/085342_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85342

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【行政事件:各贈与税決定処分取消等請求控訴事件/東京 裁/平27・4・22/平26(行コ)457】分野:行政

判示事項(by裁判所):
1同族会社に該当する会社に対してされた時価より著しく低い価額の対価での財産の譲渡により譲渡を受けた当該会社の資産の価額が増加した場合,当該会社の株主又は社員は,相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」といえるか
2同族会社に該当する会社である株式会社及び合名会社に対して取引相場のない有限会社の持分がそれぞれ譲渡された場合における当該持分の価額について,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17(例規)国税庁長官通達。ただし,平成18年10月27日付け課評2−27・課資2−8・課審6−10による改正前のもの)189−3に定める方式によって評価することとするのが相当であるなどと判断された事例

要旨(by裁判所):1同族会社に該当する会社に対してされた時価より著しく低い価額の対価での財産の譲渡により譲渡を受けた当該会社の資産の価額が増加した場合には,当該会社の株主又は社員は,相続税法9条に規定する「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で利益を受けた」といえる。
2同族会社に該当する会社である株式会社及び合名会社に対して取引相場のない有限会社の持分がそれぞれ譲渡された場合における当該持分の価額については,判示の事情の下においては,財産評価基本通達(昭和39年4月25日付け直資56・直審(資)17(例規)国税庁長官通達。ただし,平成18年10月27日付け課評2−27・課資2−8・課審6−10による改正前のもの)189−3に定める方式によって評価することとするのが相当であり,かつ,その本文に定める方式によって評価する際に同通達185のただし書による評価減を行うことはできず,ほかに同通達の定める評価方式以外の評価方式によるべき特段の事情があるということはできない。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/337/085337_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85337

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【行政事件:処分取消請求控訴事件/名古屋高裁/平27・3・2 4/平26(行コ)85】分野:行政

判示事項(by裁判所):
生産緑地に指定された農地の所有者が,下水道事業受益者負担金賦課決定処分の取消しを求める請求が,棄却された事例

要旨(by裁判所):生産緑地に指定された農地の所有者が下水道事業受益者負担金賦課決定処分の取消しを求める請求につき,生産緑地に指定された農地であっても,当該下水道事業によって将来宅地に転用された場合の利用価値が高まり,これに応じて宅地転用前の資産価値も増加することなどから,その所有者は都市計画法75条1項の「著しく利益を受ける者」に該当するとして,上記請求を棄却した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/336/085336_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85336

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【行政事件:選挙無効請求事件/大阪高裁/平27・3・26/平26( ケ)5】分野:行政

判示事項(by裁判所):
平成26年12月14日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,奈良県第4区の選挙人が,同選挙の選挙区割りに関する公職選挙法等の規定は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された前記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙の無効請求が,棄却された事例

要旨(by裁判所):平成26年12月14日施行の衆議院(小選挙区選出)議員選挙について,奈良県第4区の選挙人が,同選挙の選挙区割りに関する公職選挙法等の規定は憲法に違反し無効であるから,これに基づき施行された前記選挙区における選挙も無効であると主張して提起した選挙の無効請求につき,前記選挙区割りは,議員1人当たりの人口の少ない5県の各選挙区数をそれぞれ1減じただけで,それ以外の都道府県については,1人別枠方式を定めた従前の区割基準に基づいて配分された定数がそのまま維持されており,1人別枠方式の構造的な問題は最終的に解決されておらず,選挙制度の整備が十分に実現されているとはいえないが,最高裁判所平成23年3月23日大法廷判決を受けて平成25年6月に公職選挙法が改正され,1人別枠方式の廃止とともに0増5減が実現され,前記選挙区割りによる選挙区間の人口の較差は1.998倍に抑えられたこと,それから前記選挙時まで1年半弱しか経過していないこと,前記選挙日における選挙区間の選挙人数の最大較差は2.129倍と,2倍をわずかに超えたに過ぎないこと,最高裁判所平成25年11月20日大法廷判決の判示するとおり,漸次的な見直しを重ねることによって選挙制度の整備を実現していくことも,国会の裁量に係る現実的な選択として許容されていると考えられるところ,衆議院に設置された「衆議院選挙制度に関する調査会」では,一票の較差を是正する方途等を調査,検討し,選挙区間の較差が2倍未満に収まるように議員定数配分を改正しなければならないことを意識した議論がされていることといった事実を総合すると,前記選挙区割りが憲法の要求する投票価値の平等に反する状態に至っていると認めることはできないから,前記選挙区割りを定める公職選挙法13条1項及び別表第1の区割規定の下で実施された前記選挙は無効であると認めることができないなどとして,前記請求を棄却した事例

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/335/085335_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85335

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【行政事件:加入員減少に係る一括徴収金納入告知処分取 消請求事件/東京地裁/平27・4・28/平26(行ウ)113】

判示事項(by裁判所):
厚生年金基金の設立事業所の事業主による事業の一部譲渡により当該厚生年金基金の加入員が減少したことを理由として行われた一括徴収金の納入告知処分が適法とされた事例

要旨(by裁判所):厚生年金基金が,設立事務所の事業主が事業の一部を設立事業所以外の会社に譲渡したことによって当該厚生年金基金の加入員が減少したとして,厚生年金保険法(平成25年法律第63号による改正前のもの)138条5項,厚生年金基金規則(平成26年厚生労働省令第20号による廃止前のもの)32条の3の2に基づいて定めた規約の条項に基づいて当該事業主に対して行った一括徴収金の納入告知処分は,上記規約の条項及びその根拠となる法令の条項が憲法22条1項に違反するものではなく,また,上記規約の条項を適用するためには加入員を減少させることで掛金の負担を免れようという事業主の主観的意図は要件とならず,さらに,事業譲渡に伴う加入員減少という事実が発生した時点で,厚生労働省「厚生年金基金等の資産運用・財政運営に関する特別本部」が厚生年金基金の代行制度については他の企業年金制度への移行を促進しつつ一定の経過期間をおいて廃止する方向で対応することを決定していたという事情や,納入告知処分がされた時点で当該厚生年金基金が既に解散の方針を決議していたという事情を考慮したとしても,「継続基準方式」によって特別掛金を計算したことが設立事業所間の負担の公平を著しく害するものではなく,上記納入告知処分を違法ならしめる瑕疵があるとはいえないから,適法である。

(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/334/085334_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail5?id=85334

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