Archive by month 5月
罪となるべき事実(by Bot):
被告人は,A及びBと共謀の上,平成30年11月8日午後2時22分頃,名古屋市a区bc丁目d番e号fビル北側出入口付近において,Bをして,同出入口に向かって歩いていたC(当時78歳)の後方から近づき,Cが手に持っていたDほか1名所有の現金3757万6628円及び実印等2点在中のかばん1個(時価合計約10万円相当)をひったくり窃取した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/183/089183_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89183
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判示事項(by裁判所):
犯罪の証明がないとして無罪を言い渡した第1審判決を控訴裁判所が何ら事実の取調べをすることなく破棄し有罪の自判をすることと刑訴法400条ただし書
要旨(by裁判所):
第1審判決が公訴事実の存在を認めるに足りる証明がないとして,被告人に対し,無罪を言い渡した場合に,控訴審において第1審判決を破棄し,自ら何ら事実の取調べをすることなく,訴訟記録及び第1審裁判所において取り調べた証拠のみによって,直ちに公訴事実の存在を確定し有罪の判決をすることは,刑訴法400条ただし書の許さないところとする最高裁判例(昭和26年(あ)第2436号同31年7月18日大法廷判決・刑集10巻7号1147頁,昭和27年(あ)第5877号同31年9月26日大法廷判決・刑集10巻9号1391頁)は,刑訴法の仕組み及び運用が大きく変わったことなど原判決の挙げる諸事情(判文参照)を踏まえても,いまなおこれを変更すべきものとは認められない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/182/089182_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89182
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事案の概要(by Bot):
本件は,被告の従業員であった原告が,被告が有していた特許第1997141号の特許(以下「本件特許」という。)に関し,原告は本件特許に係る「球形で粒度分布の狭いマグネシウムアルコラートの合成方法」という名称の発明(本件特許の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1記載の発明。以下「本件発明」という。)の発明者であり,特許を受ける権利を被告に承継させたとして,被告に対し,特許法35条3項(平成16年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)の規定による相当の対価の支払請求権(以下「本件対価請求権」という。)に基づき,806万4000円のうち300万円及
2びこれに対する本件対価請求権の支払を請求した日の後である平成31年4月12日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/181/089181_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89181
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要旨(by裁判所):
被告人が,氏名不詳者らと共謀の上,営利の目的で,覚せい剤約438.7グラムを隠匿したスーツケースを航空機の手荷物としてマレーシア所在の空港から北海道内の空港に持ち込み,覚せい剤を日本国内に輸入しようとしたが,税関職員に発見されたためこれを遂げなかったとされた覚せい剤取締法違反,関税法違反の事案について,被告人の覚せい剤の知情性を認めるにはなお合理的な疑いが残るとして,無罪を言い渡した事例
(裁判員裁判)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/180/089180_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89180
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事案の概要(by Bot):
本件は,特許第4473278号(発明の名称:スクラブ石けんの製造方法)及び特許第4740373号(発明の名称:スクラブ石けん)の各特許権を共有する原告らが,被告日本生化学,被告ブレーンコスモス及び被告ビーシーリンクに対し,被告日本生化学が製造,販売等し,被告ブレーンコスモス及び被告ビーシーリンクが販売及び販売の申出をしている別紙被告製品目録記載の製品の製造方法及び同製品は原告らの各特許権の技術的範囲に含まれ,被告日本生化学,被告ブレーンコスモス及び被告ビーシーリンクらの上記各行為は特許権侵害の共同不法行為に当たると主張し,特許法100条1項及び2項に基づき,被告製品の製造,販売等の差止め及び廃棄を求めるとともに,同法102条1項に基づき,連帯して,原告長寿乃里につき損害賠償金5億3751万3690円のうち4億6025万4930円,原告イングにつき損害賠償金4億7390万3360円のうち4億2365万6910円及びこれらに対する不法行為の後である被告日本生化学につき平成28年5月18日から,被告ブレーンコスモス及び被告ビーシーリンクにつき同月19日(いずれも訴状送達の日の翌日)から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うことを求め,さらに,被告Aに対し,被告Aが代表取締役である被告ブレーンコスモス及び被告ビーシーリンクによる上記特許権侵害行為が取締役としての任務懈怠に当たるとして,会社法429条1項に基づき,被告ブレーンコスモス又は被告ビーシーリンクと連帯して,上記各損害賠償金及び遅延損害金を支払うことを求める事案である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/179/089179_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89179
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要旨(by裁判所):
被告人が,路上を通行中の被害者のバッグを引っ張って,人目につかない場所まで連行し,顔面等を拳で殴り,髪の毛をつかんで地面に引き倒した上,その顔面等を足で踏むなどの暴行を加え,財布等を奪い,その際,被害者に全治約10日間を要する傷害を負わせた路上強盗及び大麻所持の事案について,被告人に懲役4年を言い渡した事例
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/178/089178_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89178
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要旨(by裁判所):
被告人が,来訪していた交際相手に暴行を加え,死亡させた事案につき,犯行当時,被告人が心神耗弱の状態にあったと認めた上,懲役7年に処した事例。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/177/089177_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89177
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罪となるべき事実(by Bot):
被告人A及び被告人Bは,分離前相被告人C及び氏名不詳者らと共謀の上,営利の目的で,みだりに,平成30年10月4日,名古屋市a区bc丁目d番地所在の倉庫内において,覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパン塩酸塩を含有する結晶約306.0511キログラム及び覚せい剤であるフエニルメチルアミノプロパンを含有する結晶約33.5376キログラム(別表記載の覚せい剤はその鑑定残量)を所持したものである。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/176/089176_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89176
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罪となるべき事実(by Bot):
被告人は,内妻の友人で顔見知りの被害者(当時62歳)から金品を強取しようと企て,平成28年8月26日午後1時46分頃から同日午後3時22分頃までの間,愛知県一宮市a町字bc番地d前記被害者方において,同人に対し,殺意をもって,その頸部をひも(名古屋地方検察庁平成29年領第1389号符号56-1は鑑定により分離されたもの)で絞め付けるなどし,よって,その頃,同所において,同人を頸部圧迫により窒息死させて殺害した上,同人所有又は管理の現金約2000円,商品券15枚(額面合計1万5000円)及び指輪等47点(時価合計約298万2480円相当)を強取したものである。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/175/089175_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89175
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罪となるべき事実(by Bot):
被告人は,平成30年1月23日午前7時頃,名古屋市(住所省略)被告人方において,長男であるA(当時25歳)に対し,殺意をもって,同人の頸部にロープの片側を結んで作った輪をかけた上,うつ伏せになったAの後頭部等を足で踏み付けるなどしながら,同ロープを両手で引っ張ってAの頸部を絞め付け,よって,同日午前9時4分頃,同市(住所省略)B医療センターにおいて,Aを頸部圧迫による窒息により死亡させて殺害したものである。なお,被告人は,上記犯行当時,うつ病の影響により心神耗弱の状態にあった。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/174/089174_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89174
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事案の概要(by Bot):
本件は,発明の名称を「梁補強金具およびこれを用いた梁貫通孔補強構造」とする特許権を有する被控訴人が,控訴人に対し,被告各製品が本件発明1,2及び5の,被告製品8〜13が本件発明4の技術的範囲にそれぞれ属し,控訴人による被告各製品の製造,使用及び販売等が,本件特許権を侵害する旨主張して,被告各製品の生産,使用,譲渡等の及び同各製品の廃棄並びに不法行為に基づく損害賠償金1377万2088円及びこれに対する不法行為の後の日である平成30年10月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。原判決は,被控訴人の控訴人に対するめ及び廃棄請求を認容するとともに,損害賠償請求のうち,156万2345円及びこれに対する遅延損害金の支払請求を認容し,その余の請求を棄却したため,控訴人が控訴を提起した。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/173/089173_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89173
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事案の概要(by Bot):
1特許庁における手続の経緯等
?被告は,平成14年12月3日,発明の名称を「梁補強金具およびこれを用いた梁貫通孔補強構造」とする発明について特許出願をし(優先権主張:平成13年12月4日),平成19年2月2日,設定の登録を受けた。
(2)原告は,平成29年10月19日,これに対する無効審判を請求し,無効2017−800139号事件として係属した。被告は,平成30年1月9日付けで,本件特許の特許請求の範囲に係る訂正を請求した(以下「本件訂正」という。甲16)。
(3)特許庁は,平成30年10月3日,本件訂正を認めた上,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,その謄本は,同月12日,原告に送達された。 (4)原告は,平成30年11月9日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
2特許請求の範囲の記載
(1)本件訂正前本件訂正前(設定登録時)の特許請求の範囲の請求項1ないし7の記載は,以下のとおりである。以下,各請求項に係る発明を「本件発明1」などという。
【請求項1】梁に形成された貫通孔の周縁部に外周部が溶接固定されるリング状の梁補強金具であって,その軸方向の長さを半径方向の肉厚の0.5倍〜10.0倍とし,前記貫通孔より外径が大きいフランジ部を前記外周部の軸方向の片面側に形成したことを特徴とする梁補強金具。 【請求項2】前記梁補強金具の体積を,前記梁形成された貫通孔の内部に形成された空間部の体積の1.0〜3.0倍としたことを特徴とする請求項1に記載の梁補強金具。 【請求項3】前記外周部を,軸方向の他面側に向かって徐々に縮径させたことを特徴とする請求項1または2に記載の梁補強金具。
【請求項4】前記外周部の最小外径部から前記フランジ部外周までの長さを前記外周部の最小外径の半分以下とし,前記フランジ部の軸(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/172/089172_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89172
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要旨(by裁判所):
(1)従前の最高裁判例についての当裁判所の理解
ア基本的な判断の枠組み
投票価値の平等は,憲法上の要請であるが,唯一絶対の基準ではなく,正当に考慮することができる他の政策的目的・理由との関連において調和的に実現されるべきである。国会の定めた選挙制度が裁量権の行使として合理性を有する限り,憲法違反とはいえない。
参議院議員選挙法(昭22)・公職選挙法(昭25)の制定時の立法措置は,裁量権の合理的な行使の範囲を超えるものであったとはいえない。しかし,その後の人口変動の結果,投票価値の著しい不平等状態が生じ,相当期間継続しているにもかかわらず是正措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合には,憲法違反に至る。
憲法は,二院制の下で,両議院にほぼ等しい権限を与えつつ,参議院議員の任期をより長期とすることなどによって,多角的・長期的な視点からの民意を反映させ,衆議院との権限の抑制・均衡を図り,国政の運営の安定性・継続性を確保しようとしている。このような憲法の趣旨を実現し,投票価値の平等の要請と調和させていくためにいかなる選挙制度を採るかは,参議院の性格,機能,衆議院との異同をどのように位置付け,これを選挙制度にいかに反映させていくかを含め,国会の合理的な裁量に委ねられている。
イ過去3回の選挙についての最高裁の判断
最高裁は,平22選挙(選挙時の選挙人数の最大較差約5.00倍,最高裁判決は平24)・平25選挙(選挙時の選挙人数の最大較差約4.77倍,最高裁判決は平26)について,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったが,合理的な期間内に是正されなかったことが裁量権の限界を超えるとは認められないとした。その際,参議院の選挙区が都道府県単位であることなどは,数十年間にもわたり5倍前後の大きな較差が継続することを正当化する理由として十分といえなくなっているなどと指摘したが,都道府県という単位を用いること自体が許されないとしたわけではない。
最高裁は,平28選挙(選挙時の選挙人数の最大較差約3.08倍,最高裁判決は平29)について,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったとはいえないとした。その際,選挙の前年の平27改正法では,定数の増減にとどまらず,複数県の合区も導入し,これにより較差を縮小しており(改正時の人口比で約2.97倍,選挙時の選挙人数比で上記の約3.08倍),また,改正法の附則において,次回通常選挙に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い必ず結論を得るとしているなどと指摘した。
(2)本件選挙について特に問題とされている点
本件選挙の前年の平30改正法によって,較差は,選挙時の選挙人数比で縮小したが,大幅な縮小ではない。手法をみても,更なる合区や定数減をせず,定数増のみをして,その分だけ全体の定数を増すなどしており,抜本的な見直しと評価し難い側面がある。平27改正法附則のような規定もない。
このような平30改正法をいかに評価するかが問題となる。
(3)主に上記(2)の点を中心とする当裁判所の判断
較差は定数配分問題の出発点であり,較差の解消は問題解決の最終目標であって,較差縮小の程度は,その手法と並んで,重要な観点となる。平30改正は,較差縮小としては一つの成果を挙げており,特に,本件選挙時の選挙人数の較差は約3.00倍で,平成28選挙時よりも縮小した。
改正に至る検討の過程をみると,平29最高裁判決前から協議され,更なる合区以前の問題として,既存の合区の廃止を求めるなど,合区に対する問題点の指摘や反対の意見も寄せられる中で,合区に代わるブロック単位の選挙区等も提案され,参議院の役割にも立ち入った議論がされるなど,従前よりも更に抜本的な選択肢をも対象とし,より広汎な見地からの議論がされた。結果的に抜本的な見直しに至らないまま,まずは翌年に迫った本件選挙における較差是正を急ぐ見地から,定数増をもって臨むなどしているが,そのような結果に至ったことの一事をもって,今後における投票価値の較差の更なる是正に向けての方向性と立法府の決意が放棄されたものと評価するのは,なお,いささか早計というべき段階にあると考えられる。立法府として決意を放棄していないことは,参議院の委員会の附帯決議で明らかにされている。
このように,平成30年改正法は,本件選挙時の較差を約3.00倍にまで縮小したものであり,投票価値の較差の更なる是正に向けての方向性や立法府の決意が放棄されたものでもなく,再び大きな較差を生じさせることのないよう配慮されている状態もなお損なわれていないとみるのが相当である。
以上のような事情を総合すれば,本件選挙当時の投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/171/089171_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89171
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要旨(by裁判所):
1憲法は,投票価値の平等を要求しているものの,投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準となるものではなく,国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるべきものである。国会が具体的に定めたところがその裁量権の行使として合理性を有するものである限り,投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても,直ちに憲法に違反するとはいえない。
2二院制の下での参議院の在り方や役割を踏まえ,参議院議員につき衆議院議員とは異なる選挙制度を採用し,国民各層の多様な意見を反映させて,参議院に衆議院と異なる独自の機能を発揮させようとすることも,選挙制度の仕組みを定めるに当たって国会に委ねられた裁量権の合理的行使として是認し得る。また,政治的に一つのまとまりを有する単位である都道府県の意義や実体等を一つの要素として考慮すること自体が否定されるべきものであるとはいえない。
3参議院議員の選挙について,直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいわけではなく,投票価値の平等の要請について十分に配慮することが求められる。しかし,参議院議員につき衆議院議員とは異なる選挙制度を採用した結果,投票価値の較差が衆議院議員選挙と比べて大きいものとなっても,そのことをもって直ちに国会の合理的な裁量を超えるものとはいえない。
4最高裁平成29年大法廷判決は,平成27年改正法について,参議院の創設以来初めての合区を行うことにより,平成25年選挙当時まで数十年間にもわたり5倍前後で推移してきた選挙区間の最大較差が2.97倍(平成28年選挙当時は3.08倍)にまで縮小したこと,同改正法の附則で,次回の通常選挙に向けて選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い必ず結論を得る旨を定めており,投票価値の較差の更なる是正に向けての方向性と立法府の決意が示され,再び大きな較差を生じさせることのないよう配慮されていることを評価し,平成28年選挙における投票価値の不均衡は,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったものとはいえないと判断した。
5平成30年改正は,参議院選挙区選出議員の定数を2人増加して148人とした上で,2人を埼玉県に配分してその改選定数を4人とし,選挙区間の最大較差を2.985倍とし,参議院比例代表選出議員の定数を4人増加して100人とし,比例代表選挙において,名簿に予め順位を付する拘束式の特定枠を設けることができる制度を導入した。これは,参議院の会派の意見に隔たりがあり,大選挙区制を採用するなどの新たな選挙制度を設けるには時間的な制約もあり,本件選挙までに選挙制度の抜本的見直しを行うには困難な状況の中で,長年にわたり選挙区間における大きな投票価値の不均衡が継続してきた状態から脱せしめた平成27年改正に引き続き,平成29年大法廷判決を踏まえ,投票価値の較差を図るための現実的な選択肢として漸進的な是正を図ったものであり,平成27年改正法附則の「選挙区間における議員1人当たりの人口の較差の是正」を考慮した改正といえる。
平成30年改正で,平成27年改正法附則の「選挙制度の抜本的見直し」がされたとはいい難いが,いかなる選挙制度によって憲法の二院制の趣旨を実現し,投票価値の平等の要請と調和させていくかは,国会の合理的な裁量に委ねられており,選挙制度の抜本的見直しが未だされていないからといって,直ちに,本件選挙について違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったとはいえない。
6平成27年改正により,鳥取県,島根県,高知県及び徳島県が合区の対象とされたが,当時の国会の審議においても,それ以上の合区を創設することが困難であることは認識されていた。また,平成27年当時,合区の検討対象とされていた地方公共団体,全国町村会及び全国知事会等から,合区創設に反対し,都道府県単位の選挙区の維持を求める意見書が多数提出された。
平成28年選挙において合区された県の投票率は,島根県を除く各県で低下し,当時における過去最低の投票率を記録し,その無効投票率(当時)は,島根県を除いて全国平均を相当程度上回り,特に地元出身の候補者のいなかった高知県は全国で最高となった。本件選挙でも,徳島県の投票率は全国最低の約38.59%であり,鳥取県及び島根県でもそれぞれ過去最低の投票率を記録し,無効票率についても,ともに高知県出身の自民党と野党統一候補の事実上の一騎打ちとなった徳島県では全国平均である2.53%を大きく上回る最も多い6.04%を記録した。
これらのことからすると,平成30年改正において合区を更に設置しなかったことが国会の裁量の範囲を超えるとはいえないし,そもそも単に合区を増加させることが選挙制度の抜本的見直しとはいい難い。参議院の各会派の意見には隔たりがあり,新たな選挙制度を設けるためには更に慎重な検討を重ねる必要があるから,平成30年改正で選挙制度の抜本的見直しがされなかったとの一事のみで直ちに違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態が生じているとはいえない。加えて,平成30年改正でも,参議院政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会において,「今後の参議院選挙制度改革については,憲法の趣旨にのっとり,参議院の役割及び在り方を踏まえ引き続き検討を行うこと」についてその実現に努めるべきであること等を内容とする附帯決議がされ,引き続き選挙制度改革を進めるという立法府の意向が示され,再び以前のような大きな較差を生じさせることのないように配慮されている。
7以上によれば,本件選挙当時の定数配分規定が憲法に違反するとはいえないから,原告の請求には理由がない。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/170/089170_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89170
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事案の概要(by Bot):
1特許庁における手続の経緯等
?被告は,平成29年5月12日,発明の名称を「マッサージ機」とする特許出願(平成24年5月31日に出願した特願2012−124882の分割出願)をし,平成29年12月8日,設定の登録を受けた。
?原告は,平成30年7月10日,本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし7に記載された発明について特許無効審判請求をし,無効2018−800086号事件として係属した。?特許庁は,平成31年3月18日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,同月28日,その謄本が原告に送達された。 ?原告は,同年4月16日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
2特許請求の範囲の記載
?本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし7の記載は,次のとおりである。なお,「/」は原文の改行部分を示す(以下同じ。)。以下,各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい,併せて「本件各発明」ともいう。また,その明細書を,図面を含めて「本件明細書」という。 【請求項1】
使用者が凭れる背凭れ部と,/使用者が着座する座部と,を有するマッサージ機において,/前記背凭れ部に設けられた左右で対をなす第一側壁と前記座部に設けられた使用者の臀部乃至大腿部の外側面に対向する左右で対をなす第二側壁とを一体的に形成された側壁を有し,/前記側壁に使用者の腰部を左右方向に押圧可能である対の第一マッサージ部と使用者の臀部乃至大腿部を左右方向に押圧可能である対の第二マッサージ部が設けられ,/前記第一マッサージ部と第二マッサージ部の動作を制御する制御部を有することを特徴としたマッサージ機。 【請求項2】前記背凭れ部及び前記座部は一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のマッサージ機。
【請求項3】前記制御部は,前記第一マッサー(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/169/089169_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89169
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事案の概要(by Bot):
1特許庁における手続の経緯等
?被告は,平成24年3月19日,発明の名称を「マッサージ機」とする特許出願(平成14年4月19日に出願した特願2002−118191の一部を平成19年6月21日に新たな出願とした特願2007−163906の一部を平成20年3月12日に新たな出願とした特願2008−61992の一部を平成21年12月4日に新たな出願とした特願2009−275966の分割出願)をし,平成24年6月8日,設定の登録を受けた。 ?原告は,平成30年4月18日,本件特許について特許無効審判請求をし,無効2018−800041号事件として係属した。
?特許庁は,平成31年3月5日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との別紙審決書(写し)記載の審決(以下「本件審決」という。)をし,同月14日,その謄本が原告に送達された。 ?原告は,同月28日,本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。
2特許請求の範囲の記載
?本件特許の特許請求の範囲請求項1ないし6の記載は,次のとおりである。なお,「/」は原文の改行部分を示す(以下同じ。)。以下,各請求項に係る発明を「本件発明1」などといい,併せて「本件各発明」ともいう。また, その明細書を,図面を含めて「本件明細書」という。
【請求項1】被施療者が着座可能な座部と,被施療者の上半身を支持する背凭れ部とを備える椅子型のマッサージ機において,/前記座部の両側に夫々配設され,被施療者の腕部を部分的に覆って保持する一対の保持部と,/前記保持部の内面に設けられる膨張及び収縮可能な空気袋と,を有し,/前記保持部は,その幅方向に切断して見た断面において被施療者の腕を挿入する開口が形成されていると共に,その内面に互いに対向する部分を有し,/前記空気袋は,前記内面の互いに対向する部分のうち少なくとも一方の部分に設けられ,/前記一対の保持(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/168/089168_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89168
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要旨(by裁判所):
国と森友学園との間の国有財産売買に係る売買契約書に記載された売買代金額等及び土壌汚染や地下埋設物に関する瑕疵担保責任を免除する特約は,財政法9条1項の趣旨に照らし開示すべき要請の高い重要な情報であるところ,これを開示すると保護者が学校敷地の土壌汚染等に対する心理的嫌悪感を抱き森友学園の事業運営上の利益が害されるおそれがあるというのは一般的・抽象的な可能性にとどまるから,情報公開法5条2号イ所定の不開示情報に該当しない。近畿財務局長は,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と不開示とする判断をしたものであり,国家賠償法上違法である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/167/089167_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89167
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事案の概要(by Bot):
本件は,特許出願拒絶査定に対する不服審判請求を不成立とした審決の取消訴訟である。
1特許庁における手続の経緯
原告は,発明の名称を「加齢性疾患及び身体機能低下の予防用組成物及び予防用栄養組成物」とする発明につき,平成26年3月12日,特許出願(特願2014−49007号。以下「本願」という。)をしたが,平成30年1月26日付けで拒絶査定を受けた。原告は,同年4月13日,拒絶査定不服審判請求をし,手続補正をした。特許庁は,上記審判請求を不服2018−5143号として審理し,平成31年3月18日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし,同審決謄本は,同年4月2日,原告に送達された。 2特許請求の範囲の記載
本件補正後の本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」といい,本願の明細書及び図面を「本願明細書」という。)は,以下のとおりである。
「ローヤルゼリーを含有する加齢性疾患及び身体機能低下の予防用組成物であって,前記加齢性疾患及び身体機能低下が,加齢性の筋疾患又は筋力低下,かつ加齢性の骨疾患又は骨密度低下であり,生ローヤルゼリー換算量で,1日当たり600〜14400mgのローヤルゼリーが,ヒトに対して経口投与されるように用いられる,予防用組成物。」
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/165/089165_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail7?id=89165
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事案の概要(by Bot):
本件は,指定暴力団五代目工藤會(以下「工藤會」という。)の捜査・取締りを指揮していた元警察官である被控訴人が,工藤會の幹部であった控訴人らに対し,被控訴人が退職から1年余り経過した後の平成24年4月19日,工藤會構成員であったA(以下「A」という。)から拳銃で銃撃されるという襲撃行為(以下「本件襲撃」という。)を受けて負傷したことについて,本件襲撃は,控訴人らが共謀し,Aに指示して行わせたものであって,共同不法行為に当たると主張して,民法719条に基づき,控訴人B,控訴人C及び控訴人Dについて,同人らは工藤會の幹部として構成員であるAの使用者ないし代理監督者であるところ,本件襲撃が工藤會の弱体化を目的とした警察の捜査・取締りに対する報復・牽制であって資金獲得活動に向けた工藤會の威力を維持するための事業として行われたものであると主張して,使用者責任(民法715条)に基づき,又は控訴人B及び控訴人Cについて,工藤會を代表し又はその運営を支配する地位にあるところ,構成員であるAが資金獲得活動に向けた工藤會の威力を維持するための行為を行うについて他人である被控訴人の生命及び身体を侵害したと主張して,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴対法」という。)31条の2に基づき(上記ないしは選択的併合の関係にある。),連帯して,損害賠償金2968万3158円及びこれに対する不法行為の日である平成24年4月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。原審は,被控訴人の請求の(以下略)
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/164/089164_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89164
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事案の概要(by Bot):
被告の職員である原告は,京都市の児童相談所に勤務していた平成27年3月及び10月,京都市内の児童養護施設で起きたと疑われる被措置児童虐待の不祥事について,同児童相談所が適切な対応を採っていなかったとの認識を有したことから,これを問題視し,京都市の公益通報処理窓口に対して二度にわたり,いわゆる公益通報を行った。原告は,同年12月4日,上記の各公益通報の前後の時期に行ったとされる各行為,すなわち,?勤務時間中に,上記虐待を受けたとされる児童と●●★の児童記録データ等を繰り返し閲覧した行為,?上記虐待を受けたとされる児童の★の児童記録データを出力して複数枚複写し,そのうちの1枚を自宅へ持ち出した上に無断で廃棄した行為,?職場の新年会及び組合交渉の場で,上記虐待を受けたとされる児童の個人情報を含む内容を発言した行為について,地方公務員法29条1項各号所定の事由(以下「懲戒事由」という。)に該当するものとして,京都市長から,停職3日の懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を受けた。本件は,本件懲戒処分を不服とする原告が,上記の各内部通報の前後の時期に行ったとされる上記各行為は,事実と異なる部分があることに加え,上記被措置児童虐待の不祥事に対する上記児童相談所の対応が不適切であるとの問題意識に基づき行った正当な行為として懲戒事由にそもそも該当しないと主張するほか,また,仮に懲戒事由に該当するとしても,原告による上記各行為の目的の正当性や,本件懲戒処分が結論ありきで行われたこと,他の事例との比較において重きに失すること,手続の適正の欠如などを考慮すれば,京都市長が行った本件懲戒処分には裁量権を逸脱又は濫用した違法があるなどと主張して,本件懲戒処分の取消しを求める事案である。
(PDF)
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/163/089163_hanrei.pdf (裁判所ウェブサイトの掲載ページ)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=89163
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